聖プラクセディス

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フェルメール【聖プラクセディス】

フェルメール【聖プラクセディス】
Saint Praxedis
1655年
原画サイズ(101.6×82.6cm)
所蔵:バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション

 

1632年オランダ生まれのヨハネス・フェルメール。この作品に描かれているのは、聖プラクセディスで2世紀頃に生きた人物である。処刑されたキリスト教信者の遺体を清めることに努めたという。彼女は殉教者の血を含ませたスポンジを絞っている様子が描かれている。
本作品はフェリーチェ・フィケレッリ(1605 - 1669?) というイタリアの画家が10年ほど前に描いた『聖プラクセディス』の
写しと思われる。
聖プラクセディスは2世紀頃の人物で、処刑されたキリスト教信者の遺体を清めることに努めたという。
殉教者(絵の背景に見える)の血を含ませたスポンジを絞っているところを描いたものだが、彼女の表情からは穏やかな優しさが感じられる。
構図はフィケレッリの作品とほとんど同じであるが、聖プラクセディスがその手にスポンジとともにフィケレッリの原作にはない十字架を握っている点が異なっている。

ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)

1632年〜1675年

フランドル派

ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)

1632年オランダ生まれのフランドル派ヨハネス・フェルメール。

彼の生涯作品は35点ほどであると言われており、極端に少ない。

彼ははじめ物語画家として出発したのち、風俗画家に転向。

彼の作品の特徴として挙げられるのが、「フェルメール・ブルー」といわれる青色絵の具を使っていること。

当時金と同じくらいの価格で取引されていたという鉱石ラピスラズリを原料とする貴重な絵の具を、数少ない生涯作品のうち、24点もの作品に使っていたという。

絶対王政時代の17世紀ヨーロッパ。オランダは王を戴かず、経済の力で大国になった。海洋貿易、軍事、科学技術で世界を牽引し、文化・芸術も大きく花開いた。

 

「他国では王侯貴族や教会の占有物だった絵画が、フェルメールの生きた十七世紀オランダでは庶民の家の壁にもふつうに飾られていました。

フランス印象派より二世紀も先に、庶民のための芸術が生まれていたのです」(あとがきより)

 

フェルメール、ハイデンの風景画からは市民の楽しげな暮らしが見て取れる。

レンブラント、ハルスの集団肖像画は自警団の誇りと豊かさを、

ロイスダールの風車画はオランダ人の開拓魂を、

バクハイゼンの帆船画は東インド会社の隆盛と経済繁栄を伝える。

ヤン・ブリューゲル二世はチューリップ・バブルに熱狂した意外な一面を描き、

ステーンが描く陽気な家族からは、人々の愉快な歌声まで聞こえる。

 

フェルメールが生きたのは、こんなにも熱気あふれる“奇跡の時代”だった。

人々は何に熱狂し、何と闘い、どれほど心豊かに生きたかーー15のテーマで立体的に浮かび上がる。

 

『怖い絵』著者・中野京子が贈る《名画×西洋史》新シリーズ誕生!

 

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2022年開催『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』で来日中の『窓辺で手紙を読む女』の修復前後の絵も収録(「手紙」の章)。

本書を読むと、美術展の楽しみも倍増です!