アイテム詳細
東映ビデオ
グループ:DVD
ランキング:18147
価格:¥ 4,242
発売日:2008-10-18
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昭和初期の時代と菊池寛
(2008-08-13)
本作は、菊池寛の伝記映画的な要素もありますが、伝記映画というわけではありません。彼の私設秘書(池脇千鶴がとてもいい)の目を通して描く実録風(←ここが肝心)のフィクションになっています。
描かれるのは昭和5〜6年のわずかな時間だし、実際、菊池寛の確かな人物像というのはよく分からない、多面的であり謎の多い人物であったようです。「人情」の人であり、「面倒見のよい」人物であったことは映画のとおりなんでしょう。風貌は勿論、そういう意味でも菊池寛はもう西田敏行以外にはあり得ない。そのぐらいの名演であり、はまり役でした。
それにしても、昭和5〜6年の東京は、まさにモダンでしたね。江戸から明治・大正へと受け継がれていた日本の風俗風習と、海外から輸入された西洋文化の融合。「恐れ入谷の鬼子母神」「あら、松っちゃん、デベソの宙返り」とかの言葉遊びも普通に生活に生きていた。(笑)
高橋伴明監督としては、前2作(「光の雨」「火火」)ほどの「社会性」はやや薄いが、エンタテインメントのなかで考えさせられるエピソードがあちこちに仕掛けられていた。また、葉子が、知りあうことになる朝鮮人・馬海松(西島秀俊が雰囲気ぴったり)は、朝鮮の貴族の末裔で、菊地に可愛がられており、新刊雑誌『モダン日本』の編集長をまかされます。時代は、急速に軍部独裁と大陸侵略へ向い、日本人ではない彼は次第に居場所がなくなっていく。個人的かつ社会歴史的なキャラクターとして、非常にうまい登場人物設定でした。
ラストは、戦争に突入していく暗い世相の中でハッピーな「丘を越えて」という曲をミュージカル仕立てで登場人物全員で歌い踊る。これはこれで、カーテンコールとしても、逆説的な世相批判としても生きていたし、なにより観ていて楽しい。

