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松竹ホームビデオ
グループ:DVD
ランキング:8257
価格:¥ 2,395
発売日:2008-06-27
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カスタマーレビュー ![]()
これぞメロドラマ!
(2008-07-05)
昭和14年作。後の「浪花女」「芸道一代男」と続く「芸道もの三部作」のトップバッターにして最高作。名歌舞伎役者の六代目菊五郎の下積み時代をドラマチックに描いている。
明治のはじめの頃のお話。若き日の菊之助(のちの六代目菊五郎)は人気が先行しているだけの大根役者だった。取り巻きにチヤホヤされるだけで天狗になっていた彼に、ある日義弟の乳母のお徳が厳しい意見をする。そこで彼は初めて自分の芸の未熟さを悟り、芸の上達を決心すると同時にお徳に恋してしまう。そして義父五代目にお徳との結婚の承諾を求めるが猛反対されたうえ、お徳も追い出されてしまう。絶望した彼は家を出て大阪で芸を磨くことにするが、芸の上達はなかなかはかどらず、最後は旅役者に身を落とすが、お徳は献身的に彼を支える。
菊之助に花柳章太郎、お徳に森赫子。花柳はこの時とっくに四十を越えていたはずだが、二十台前半の菊之助を巧みに演じて違和感がないのは驚異です。そしてこの二人の絡み合う慕情が実に感動的。奈落の底に突き落とされた菊之助が、お徳の献身と若き日の高田浩吉(凄い美男ぶりにビックリ)演ずる親友福之助の友情により見事にカムバックするが、そのときすでにお徳は・・・(涙)と、大上段に振りかぶり、正攻法の見事なメロドラマ。溝口演出も絶好調。劇中に歌舞伎の実演を導入したり、舞台裏の柱越しに人物を追いかけて立体的に動き回るキャメラや、森が住む貧しい長屋の奥にキャメラを据えて移動しながら、表を歩く花柳と長屋に住む人々を同時に映す手法など、執拗な「ワンシーン・ワンカット」の撮影は戦後の作品よりも、この時代のほうが洗練されている。しかも上映時間が二時間半もあるのに、面白すぎて長さを感じさせない稀有な作品でもあります。
昨今の映画やTVドラマにありがちな、いかにものセリフを役者に言わせた上で泣き顔をアップで撮って、はい、ここで泣かせますわよ、というあざとい演出にうんざりしているみなさん、この本物の「泣かせる演出」を堪能してください。必見。
1カット1シーン
(2008-06-16)
所謂、長廻しで演技の連続を重視して、1シーンをカットなしで撮るやり方はこの映画あたりからではなかったか。出演の主な人は舞台俳優だったことも大きく関係があったと思う。あまり、顔のクローズアップはなく、人物からは離れたカメラ構図も舞台的かもしれない。
松竹時代の溝口の「芸道三部作」という作品群があるが、これは最初の1本でありかつ今鑑賞できる唯一の作品でもある。「浪花女」「芸道一代男」が観られないのは残念至極である。
最高傑作だと思う
(2008-05-24)
溝口作品を全部観たわけではありませんけど、個人的に溝口健二の最高傑作はこれだと思っています。戦前の作品はフィルムが処分されもう観られないものもあるのに、これが残っているのは実にありがたいことです。
黒澤さんもそうですが、溝口さんも元絵(看板?)描きだったので、映画を撮るに当たって画作りのテクニックにかけては世界屈指の実力者です。あとはシナリオ、役者の演技が作品の出来に関わってきますけど、これらが最高のバランスを持った作品はこの2人の巨匠にしてもなかなかありません。
「残菊」はその数少ないうちのひとつです。すばらしい演技のアンサンブルが観られます。戦後、海外の映画祭に出品した作品などは海外ウケを考慮し、東洋的な部分を強調しすぎている嫌いもあります。でもこの頃は非常にストレートに撮られていて、悲しい話ながらとても「すがすがしい」…この言葉がピッタリくる、とてもさわやかな作品に仕上がっています。芸道もので取っつきにくそうではありますが、純粋に人情と愛の物語です。未見の方はぜひ。おすすめです。

