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文芸春秋
グループ:Book
ランキング:39561
価格:¥ 550
発売日:2001-07
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カスタマーレビュー ![]()
この小説を執筆している酒見賢一の姿を想像するのが一番おかしいか?
(2007-12-01)
あくまで酒見賢一の他の小説と比較してだが、この「語り手の事情」は失敗作に入るかもしれない。おもしろいけど、語り手(=作者)が色々考え過ぎてしまった結果、なんだかまとまりがなく消化不良気味の作品だった。また、ちょっと頭でっかち過ぎるかなという印象も持った。
しかし、小説家としての酒見賢一の発想の豊かさを感じさせる一冊ではあると思うし、やさ男の彼がパソコン(原稿用紙?)に向かっている姿を想像すると微笑ましい。
文庫版あとがきには、「そもそも《語り手の事情》はこんな話になる予定ではなかった」とあるのだが、では、どんな話になる予定だったのかと語り手に聞いてみたくなる。
理屈馬鹿が裏目に
(2006-09-30)
個人的には、後宮小説のような名作を書いた人とは思えない内容。
作者の考えていることを言いたいがための小説と言う感が強かった。
恋愛や性についての作者の見解を「語り手」の口から説明されるのには辟易した、
解説するためのとってつけたような舞台設定と登場人物の性格づけは、小説としての面白さを放棄しているようにも思える。
あとがきではご立派なことを仰っている。結びでこの小説は恋愛小説だと宣言されてるが、恋愛は理屈ではない。連載時に全く受けなかったとも書いているが、さもありなん。
純然たる
(2006-08-25)
「腹上死〜」のくだりで始まるデビュー作のくだりからしてすてきな方です。そしてヴィクトリア朝って…中国モノ以外も書いてるの?と思われた方もいるかもしれません。そして一見誤解を招きがちですが(誤解したい方もいるでしょうが)言葉や行為に対して慎重な作家さんです。もっと沢山作品を読みたいのですが。
ヴィクトリア朝のあの手の小説を紹介する「文庫目録」程度に通じていれば充分笑けてきます。ユーモアじゃなくて機知(エスプリ)なんですよ、なんていう幾重もの俯瞰と突っ込み満載。実在の人物も出てきます。
いろんな制作上の意図も興味深いのですがそんなのほうっておいて単純におもしろい。
サービスカットで濡れ場は書かれないそうです、ということはあれは純然たる。
続編は出ないようです。残念ではありますがこれはこれでよかったような気もします。
もっとも装丁がしゃれている酒見作品でもあります。
不思議な世界にいけます
(2005-08-07)
男であり、女である「語り手」が、屋敷を訪れる客人たちの性の悩みを解決するというのが、主たる筋です。
かなりの性描写もありますが、官能小説にならないのは「語り手」の優雅な口調のなせる業。
特筆すべきは物語の構成です。一人称とト書きの中間を表すための素晴らしい解決策が「語り手」の存在なのですね。できるだけ客観的に、そして書きたくないところは書かずに済むまたとない方法です。
まあ一読する価値があります。不思議な世界に引き込まれますよ。
見方かなり変わったー。おもしろいよこのヒト。
(2005-05-07)
酒見賢一というと『周公旦』であり『陋巷に在り』であり『墨攻』であり、いわゆる古代中国思想家を題材にする堅めの歴史小説家だと思っていただけに、古本屋で手にして裏表紙を見た時の衝撃は凄くてですね。「何これ?え?酒見賢一って何屋さん?」と。
すげぇ何て言うか「オープンに」というのではなく当然の如く「性」を扱っているのが新鮮つーかなんつーか、ねぇ。童貞喪失に女装に性奴隷に、SMと両性具有と同性愛(ちっく)と、妄想と力と。言葉を並べただけで...パワーあるよな(笑)。これが、隠微じゃなくて、何て言うかなぁ「日常」の中でこれらを覆い隠してしまう事が自然に反するというか「野蛮とか未開とかいうのはキリスト教的な思考で自然界を見た時に発する一方的な決めつけであり、妄想であり、自然は何も野蛮なものではない」とか思ってしまうですよ。「それ言ったらキリスト教は男性の去勢化により全女性を神の所有物にする『唯一絶対者による世界支配』の教えかよ」って思えちゃっていかんいかんこれ以上思考が進むとヤバイ方向から帰って来れなくなる。
「語り手」という存在がおもしろいっす。やったもん勝ちというか、そこまで取り込んじゃうかというか。このテーマだけで作品書いても充分におもしろいのに、性と組み合わせるもんだから、あぁもう知識欲全開というか、久しぶりに「読むこと」がおもしろく感じられたです。
「あとがき」がまた良くて。「あとがき」だけでいろんな事を考えさせられるですわ。「なぜヒトを殺してはいけないのか」「なぜ売春をしてはいけないのか」という問いに対して明確な答えを返せない「情けないオトナ」としては、「考えなくちゃ!考えなくちゃ!」と思わされるです。今のところの答えは「その時その時に自分が納得して行う行為に『いけない』事は無いと思うけど、わずかでも疑問を覚える時には結局自分を否定してしまう事になるのでしない方が良い」という弱いもので。自分に迷惑かかんなきゃいいや程度。情けない。

