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藤沢 周平

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:90397

価格:¥ 500

発売日:2000-09

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カスタマーレビュー

短編19編 みんな完璧!  (2008-01-24)
この単行本は藤沢周平さんが亡くなる前年に刊行された本。なかなか感慨深い。
私の購入した文庫本の帯には、「最晩年の記念すべき名品集!」となっている。

この本に収録されている短編は大きく2つに分かれ、
■江戸おんな姿絵十二景:12編
■ 広重「名所江戸百景」より:7編
市井もの短編 計19編収録。

どれも10〜15ページほどの短い小説であるが、短編ながら起承転結が完璧。
また、短いながらもスケールが大きく、 「よくこの長さで話をまとめるよなー」と感心させられる。


どれもこれも1級品であるが、なかでも特に
「雪の比丘尼橋」はすごい。

たかだか14ページ。しかし帰宅の地下鉄の中、思わず涙ぐんでしまったのは他でもない私です。「ほんと、参っちゃうよなー」という感じ。言葉がありません。

■内 容:
若い時から好き勝手やってきた老いぼれ爺が、小銭を手にして酒を飲む。ついつい自分の非力も省みず勢いで喧嘩をふっかけ、こてんばんにされて雪の中に放り出される。目の前には先に逝ったばあさんが、「若いうちは良いんだよ、若いうちは・・」と。血だらけになった身体を引きずり、どうにか誰も居ない家までたどり着いた。
「おや?そこですすり泣いているのは誰だ?」と、

この後の残り3行、一気に涙が溢れます。
この短編だけはぜったいに自宅で読んでください。間違っても電車の中では読まないように。

■お薦め度:★★★★★

絵のない絵本  (2002-12-01)
 「江戸おんな絵姿十二景」と「広重『名所江戸百景』より」の2部からなる。

 著者によると、前者は、著者があらすじを編集者に渡し、それにふさわしい絵をさがしてもらったとのこと。
 文藝春秋誌の同じ企画で、辻邦生は「十二の肖像画による十二の物語」および「十二の風景画への十二の旅 」を創っているが、辻の場合は先に絵があったと聞いている。どちらが先でもよいが、いずれも美しい傑作を私たちに残してくれた。辻の作品には絵がついていたが藤沢のそれは文庫になったせいか、絵がないのが寂しい。初出誌、全集、単行本を私は見る機会を得ていないが、絵の入ったものを見てみたい気もする。しかし、藤沢作品からは、リアルなおんな絵姿が瞼に浮かんでくるから、絵のない絵本としで読むのもまたひとつの楽しみでもある。

藤沢周平至極の芸  (2000-12-31)
著者最晩年の短編集。不幸な江戸の女を描いて著書の右に出るものはおそらくいないのではないか。著者の描く不幸な女は悲しく、そして哀しく、そして愛しい。それは著者の作家になる動機のひとつに、愛しい妻を病気から救えなかったことに関わっている。最初は不幸ばかりの女だったが、途中から幸せになる女も出てきた。けれども女や弱いものを観るまなざしは最初から少しも変わらない。そこが著者の最大の魅力でもある。

たとえばここに載ってある「大はし夕立ち少女」。12歳の女の子がお店のお使いに出かけた先で夕立に合う。すると風采のいい大人の男が傘をさしかけてくれる。少しどきどきするが、そのまま別れる。ーーなんのことはない。情景を切り取ったような小品である。けれどもそこには初潮を迎えたばかり、けれどもまだ大人にはなりきれない少女としての「色」(色香ではない)が描かれていて秀逸。本当は「雪の比丘尼橋」が一番好きなのだが、解説の杉本章子さんが私のいいたいことを語り尽くしているのでそちらを読んでいただきたい。

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