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マルコムX
浜本 武雄

中央公論新社

グループ:Book

ランキング:44892

価格:¥ 1,200

発売日:2002-03

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カスタマーレビュー

オバマ新大統領のいまこそ  (2008-11-11)
マルコムXとキング牧師。暴力の肯定と否定。
同時代に生きた偉大な2人の黒人解放運動者の違いとしてよく引き合いに出される部分である。しかし、果たしてそうであろうか?確かにこの本を読むと、マルコムの過激な人間性を見ることができる。だが同時に、彼は決して暴力を奨励していたわけではない。アメリカにおいて非暴力では何も変わらなかったという事実・アフリカにおける植民地解放が少なからず武力に基づいたものであったという事実を踏まえ、真に「人間」らしく生きるために、人間としての当り前の振る舞いを説いているにすぎない。少なくとも私はそう感じた。また、晩年彼の思想がキング牧師に近付いていることにも留意する必要がある。
オバマ新大統領誕生で、アメリカが本当に人種の壁を越えた国となったのか。いまだに映し出される貧民街を見るたびに、この問題の解決はそう簡単ではないと思わずにはいられない。
今こそ、この本を読む意味がある。

読み物としても面白いです。  (2008-08-14)
時に「夢のキング、悪夢のマルコム」と並び称されることもあるマルコムXの自伝。上巻では幼少時の回顧からボストン、ニューヨークにおいてハスラーとして鳴らした青少年期、逮捕・投獄された経験、獄中にてブラック・ムスリムの思想に感化され、出獄後ネイション・オブ・イスラムの導師となっていく経過が描かれている。

W.E.B.デュボイスはその著『黒人のたましい』(岩波文庫)において「アメリカの世界―それは、黒人に真の自我意識を少しも与えてはくれず、自己をもう一つの世界(白人世界)の啓示を通してのみ見ることを許してくれる世界である。この二重意識、この絶えず自己を他者の目によって見るという感覚、軽蔑と憐憫を楽しみながら傍観者として眺めているもう一つの世界の巻き尺で自己の魂を図っている感覚、このような感覚は一種独特のものである。」(P15)という有名な言葉を残しているが、マルコムの戦いもまた真の自我を持ちえない黒人の現状に対するものだったことがわかる。

印象的なのは戦時の総力戦の過程で階層上昇に成功した「一番乗り」の黒人に対する彼の批判である。「「上流階級」に属するといわれる黒人の多くは、白人たちに「自分たちはほかの黒人たちとは違うんだ」ということを印象付けるのに忙しくて、そうすることがただ単にすべての黒人に対する白人の軽蔑を維持するのに預かっているだけだということがわからないのである。」(P204)

白人の望む黒人像を演じることによって人種統合を目指したのがキングであるとするならば、マルコムはそのような戦術を徹底して拒否し、黒人の自我を追求した。どちらの方針が正しかったのか、それはわからない。だが、植民地主義と奴隷制度そしてその後の人種主義に基づく隔離と暴力に彩られる歴史がいかに黒人と白人の双方の内面に根深い後遺症をもたらしているのか。そのことをまざまざと考えさせてくれる一冊だと思う。

60年代アメリカの黒人文化の繚乱にマリファナによる破滅的生活。そして師との出会いによる劇的な人生の変化。おどろくべきマルコムXの登場物語  (2007-03-30)
自伝はめったによまないのだけれど、マルコムXという人に少しでも興味をもっているならば、絶対に読んで欲しい。上巻の3分の2は、彼がまだ20代だったころまでの刹那的で破滅的な生き方が描かれていて、それはそれで、60年代のアメリカの黒人社会を見れて非常に面白い。ベニー・グッドマン楽団、ズートスーツ(マスクでジム・キャリーが着てた服)、リンディ・ホッピング−フロアに鳴り響くビッグバンドジャズが聞こえてきそうだ。

そしてマリファナに押し込み強盗の常習犯となり、ついに刑務所に放り込まれる。

そこで師となるイライジャ・ムハマド氏に出会うことで、彼の人生は180度転換することになる。自も満足に書けなかった彼が刑務所の薄暗い明かりで無数の本を読むその底知れぬ思い入れの強さがマルコムXという人間を強く支えているのだ。

このNation of Islamというアフリカン・アメリカンの組織は今でも存続しているが、どうやら今はあまり政治的な活動は大きく行っていないようだ。

現在には存在しえない偉大な巨人  (2006-08-26)
黒人解放運動の指導者において、キング牧師に比べて高評価が少ない人物だが、彼の運動思想やその行動力、経験などからしても、キング牧師に劣らない力を持っていたのは火を見るよりも明らかである。
上巻では、マルコムの黒人解放運動指導者になるまでの道のりを著しており、非常に面白く読める。中公文庫には、このような貴重な文献を復刊してもらい、非常に感謝している。

犯罪者から伝道師へ  (2005-07-19)
上巻では、幼少時代、ハーレムで過ごした時代、刑務所時代と
主に3つの時代に分かれて語られています。
幼少時代では彼の家族との関係について。ハーレム時代では彼がハスラーとしてどのように数々の犯罪に関わってきたか。
刑務所時代ではいかにしてイスラム教にのめりこんでいったのかがマルコムの言葉で物語のように語られています。
最初の頃、白人にあこがれていた彼がイスラム教にはまっていくにつれて次第に白人を白い悪魔と思うようになります。
そして出所後、人々に伝道師として黒人がどのように白人に虐げられてきたのかという教えを広めていくようになります。
その時代のアメリカでの白人と黒人との知られざる関係など興味を持って読む事ができました。

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