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新潮社
グループ:Book
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カスタマーレビュー ![]()
大遺産相続の見込み
(2007-09-29)
ほんとに遺産相続の話でした。文庫では上下800ページを超える長い物語。昭和23年
の訳出ということなので60年も前の翻訳ですが、前半の田舎言葉などは大変うまく訳されて
いるので今新たに訳された場合このような雰囲気を醸し出せるかどうか心配になるほどです。
ただ直訳の部分も多く日本語の言い回しではない文章も多く見受けられます。カラマーゾフ〜
ではないにしても新訳によってこの作品の新たな面に光があたるかも知れません。
ディケンズの人物造形は確かで脇役達はほんとうに生き生きと浮かび上がってきますが、
この長い物語を読み終えても正直言って主人公ピップが眼前に立ち上がってきませんでした。
ピップがどのような人物なのかがいまいち釈然としません。ピップの一人称で語られる長い物語
なのですがピップの気持ちがどのように変化していくのかがよく理解できませんでした。
そういう意味でも新たたな訳によって新たな見方ができるのかもしれませんが、この作品は
そもそも心理小説ではなく、ディケンズの意図はもともとそこには無いのかも知れません。
長い、遺産相続に関する、財産と人、に関する「物語」なのでしょうか。
ディケンズ晩年の傑作
(2005-08-31)
慈愛、許しなどキリスト教の精神に溢れたディケンズ晩年の傑作です.
貧しい孤児から一転、姿を見せぬ恩恵者からの財産相続の見込みにより紳士となる主人公ピップ、婚約者の裏切りにより婚礼の朝から失意のまま何十年も時が止まったままの裕福な老婦人と美しく謎の魅力に満ちたその養女エステラ。
これだけで十分個性に富んだ登場人物が揃ってしまいましたが、そのまわりを固める人々がまた良くも悪くも人間味に溢れた人物ばかりなのはさすがディケンズ、と唸らされます。
下巻は結果が知りたい一心で止まることなく読み通してしまいました。世俗的な物差しで自分より劣っている、と見下していた相手が実は人間としてずっと上等な人物であることを知る過程には涙がかかせませんでした。地位や名誉や財産が幸せの物差しではないことを教えてくれる素晴らしい作品です。
The classic entertainment!
(2003-11-06)
初めに言っておくが、ディケンズの作品に思想はない! ドストエフスキーのような思想に重きを置くスタイルを好む皆さん、残念です。
しかし、思想なんてどうでもいいや、思想よりも面白いものが読みたいと言う人! ディケンズを読みましょう。読者をどんどん作品の世界の中に引き込む魔術に魅了されること請け合いです。
ただ、ちょっと強引なところがあるんで、そこんところがネックだな。超一流の文学者の作品は得てしてアクが強いから、受け入れない奴もいるだろうけどな。
まあ、最近、面白いもん読んでねえなあ、と思ってる奴! おまえだよ、おまえ。とりあえずディケンズでも読んどけ。
19世紀イギリスのピカレスク。
(2002-09-03)
世の中のサクセスストーリーというのはさまざまな社会階級の中を浮沈しながら主人公がそこで目にし、人々と作り上げる関係を描いていくものです。そういう意味であたしはこの作品がピカレスク的だと思いました。少年ピップがありとあらゆる人々に囲まれて成長していく姿、ディケンズ一流の人間描写、そして最後に訪れる大どんでん返し。気がついたら読み終わってた、という。『赤と黒』や『車輪の下』を楽しく読めたあなたにはお勧めです。

