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林 静一

小学館

グループ:Book

ランキング:122691

価格:¥ 660

発売日:2000-07

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カスタマーレビュー

辛く哀しい恋を超えて…  (2007-06-10)
 この作品が辛く哀しい恋の話であることは確かだ。しかし、これだけでは伝えきれないものがある。単純化された絵の白と黒の哀しい感じ。その間に現れるリアルな描写の迫力。それらが複雑に組み合わされていて、作品に一貫した静寂と緊張感を与えている。

 二人の男女の相手に対するやさしさ、愛情を伝えきれない不器用さ、相手への甘え。
 二人はそれぞれに家族との問題を抱えている。相手のことを思うたびに傷つき、傷つけてゆく。その悪循環に男女は流されてゆく...。

読み終わったあと、考える。「もし、僕がこの男女の立場になったとしたら、何ができただろう?」と。答えは...わからない。僕は、まだ若すぎる(高校生)。答えがあるのか、ないのかさえまだ...わからない。

奇跡の一作、宇宙を包摂するアパートメント  (2007-02-04)
日本には「ハイク」という詩形式があり、池にカエルがとび込んだ、という記述のみによって宇宙全体を表現する、と学びましたが、あまり信じてはいませんでした。私は間違いを認めなくてはなりません。今、『赤色エレジー』に出会った後では信じられます。狭く貧しいアパートメントに生起する簡素なマンガストーリーが何故、こんなにも広大な世界を思わせますか。ほんとうに不思議です。何も描かれていない余白には「ZEN(禅)」の気韻が満ち、何も説明しないショットがすべてを語り、直接エロチックな描写はないのに逆にそれが、あるいは沁みわたるようなエロス。これが「ハイク」精華であるのは大きな奇跡で、東洋の魔法です。横四段に仕切られた画面コマの中で空を仰ぎ、肩を揺すり、ポケットに手を入れたまま俯いて走り出す一郎の、大いに単純化された黒い配置は、写真集で見た「竜安寺」の石庭のようです。大胆で精妙な人物カタチの動きには林静一のアニメーターとしての経験の投影が明らかで、あらためてアニメは現代日本文化の象徴であると、想起されます。これを読まない人は可哀想です真実。

コマ間を読む  (2005-03-04)
よく小説で「行間を読む」という言葉を耳にするが、
この作品は「コマ間を読む」と言った感じだろうか。
あの時幸子は本当は何を言いたかったのか、とか、
あの沈黙の間一郎は何を考えていたのか、とか、
そこでは決して明確に描かれることはないのだけれど、
コマとコマの間にうっすらと浮かび上がる、
匂い立つようなリアルが感じられる。
どんな限界状況にあっても手放すことの出来ない
二人のお互いへの愛情の深さに嫉妬すら感じてしまう。

巻末であがた森魚氏この作品の素晴らしさを
うまく解説しているので、こちらも必読。

今読んで新鮮  (2002-05-06)
文庫で初めて読みました。
若くてお金のない恋人、という話の筋のほうは
かなりしみったれていますが、絵がとにかく斬新で
楽しめました。印象的なシーンもたくさんです。
幸子のユビピストルで撃たれ、ぶっ倒れる一郎のところが
特にぐっと来ました。

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