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岩波書店
グループ:Book
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発売日:1962
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サルトル―失われた直接性をもとめて (シリーズ・哲学のエッセンス)
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代表的実存哲学の簡潔な紹介
(2007-01-05)
1913年生まれの哲学研究者が1962年に刊行した本。実存主義とは、事物存在や道具存在とは異なる人間存在の特殊なあり方を、さまざまな角度から強調し、あくまでも守り抜こうとする思想的・文学的な動きである。それは現代に初めて生まれた動きではないが、二度の世界大戦と機械化による人間疎外の進展が、それを20世紀前半の代表的な思潮とした。著者はその一応の起源を、パスカル、キルケゴール、ニーチェの思想に求め、その後実存主義を、神を志向するキリスト教的実存主義と、無神論的実存主義との二つの流れに大別する。前者の流れの例として、著者はドストエフスキー、シェストフ、べルジャーエフ、そして一応ハイデッガー、ヤスペルスを挙げ、後者の流れの例として、サルトルを挙げている。著者は、人間の実存を神によって根拠づけようとする前者を、論理的一貫性において弱いと見なし、また存在(あらゆる存在者の歴史的運命の本来の根源)の声に耳を傾け、「世人」とは異なった「本来的な自己」(世界内に投げ出されたままの自己を、現にある自己の状況に対して気を配り、気を遣いながら、将来の死を先回りする決意によって引き受ける、脱自的な現存在)を回復しようとするハイデッガーの思想を、ごく少数の人間だけが実存可能なエリート主義として批判し、状況の中でのアンガージュマンを通じて、未だあらぬ自己の将来へと向かって、現にある自己から脱出していく人間存在の、脱自的・自己投企的なあり方を実存と見なす、サルトルの思想に共感している。本書の記述は専門的であるが、比較的平易であり、当時の代表的な実存哲学者の考えを、簡潔に紹介してくれている。また、実存それ自体の重要性は、おそらく現在でも否定され得ないであろう。ただし、現在から見ての実存哲学の限界については、他書を参照のこと。

