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日本評論社
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物理学史のあるべき姿
(2008-08-04)
高校物理で運動の3法則(慣性の法則,運動方程式,作用反作用の法則)を学んだことを覚えているだろうか。この中で,慣性の法則は「運動方程式において,力(=合力)がゼロの場合に相当し,運動方程式の特別な場合に含まれる」と説明されるのが普通である。その解釈を許すならば,なぜ慣性の法則が運動方程式と同列に扱われているのだろうかという疑問をもった人はどれほどいただろう。もっと進んだ授業を受けたことがある人ならば,「慣性の法則というのは慣性系が少なくともひとつは存在するという要請のこと」であると答えるかもしれない。しかし,それはあくまで後世になってからの解釈である。
本書を読むといかに(あの)ニュートンが混乱していたのかがよく分かる。実はニュートンの力に関する誤解が原因だったという驚くべき展開。本書は綿密な文献調査により,中立的な立場でニュートンのプリンキピアからラグランジュによる解析力学の構築までを,時代背景も加味して語られるハイセンスな物理学史である。オイラーが登場するぐらいまでは数式のフォローにかなり泣かされる。途中でニュートンが嫌いになってしまう人も恐らくいるだろうし,ニュートンって本当に力学を理解していたのかと疑問に思ったり,ニュートンの功績って過大評価されているんだなあという感想をもつ人も多いだろう。
高校物理の教科書では「力学」の構築者はニュートンであるという記述ばかりが目立つし,実際にそうやって教えられてきた人ばかりだろう。ところが現在高校生が学んでいる「力学」は,オイラーやベルヌーイらの数学者たちによって完全に書き直されたものであり,ニュートンがプリンキピアで見せた「ニュートンの力学」とは全くの別物なのである。
この本の読み方−多忙な方へ−
(2002-10-12)
とにかく圧倒的かつ綿密な文献調査に基づき,ニュ−トンからラグランジェに至る力学の発展過程を正確に記した大著です.ニュートンとライプニッツの微積分学確立における先取権問題をはじめとし,当時の科学者間の熱意そしてドロドロした人間臭い関係までをも全て含めて仔細に記述しています.この書の分量には圧倒されますし,またニュートンが用いた神懸り的な幾何学解析など中々フォローするのも大変です.でも御安心!! 忙しい方あるいは数学の苦手な方は,数式の詳細を飛ばし読みし畏れずにドンドン読み進めば,ニュートンからラグランジェまでの力学の発展過程をリアルタイムな雰囲気で感じ取ることができます.まるで一級の歴史物語を読むような思いに駆られます.是非,一読を.
古典としての古典力学
(2002-02-03)
古典力学の形成の歴史を語ったものだ。内容は高校で一通り習う範囲である。しかしそこには、物理学者かつ教育者である人からの視点から、人間の営みの不思議さと、その上になりたつ自然科学とその思想の深みいうものが実にいきいきと語られている。内容はニュートン力学と重力をめぐる諸問題、ガリレイとケプラーの違い、当時の物理学の様子、デカルトの業績など。

