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朝日出版社
グループ:Book
ランキング:1984
価格:¥ 1,890
ポイント:18 pt
発売日:2007-07-18
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カスタマーレビュー ![]()
著者ならではの絵画ガイド
(2008-09-05)
表紙の絵画とタイトルで、早くから気になっていました。図書館に入ったということで、まずは借りて読みました。
絵画を20も取り上げており、その点は満足。絵画部分はカラーになっており堪能できます。
文章はどの章でも大体、絵画の制作者の生い立ちや性格、描かれた時代の政治的・習慣的背景、著者のその絵画についての説明、となっています。
美術館でガイドさんと一緒に観賞している感じで、わかりやすくなっています。
ただ欲を言えば、絵画好き・歴史好きな人・ただグロテスクさを求める人にとっては物足りないかもしれません。
「ヘンリー八世」の肖像画など、当時の歴史をすでに詳しく調べていたので、改めて説明をされるまでもないと感じました。著者独自の視点から説明されるのは参考になりましたが。「踊り子」や「アントワネット」、「インノケンティウス十世像」もそうでした。
タイトルに「怖い」と付きますが、「これを描かれた当時はこんな風習で、ここには描き手のこんなこだわりがあり、それを思うと・・・ね?怖くなるでしょ?」という流れで進められている感を受けました。もっと期待してしまっていたので☆3つにしました。
わかりやすさの部分では評価できるので、2巻も読むつもりです。
目から鱗がぽろり。スリリングな知的興奮に満ちた名画鑑賞集
(2008-08-13)
掲げられた絵の背後に、実はこんな表情が、あるいはこんなドラマが隠れていたのかと知る面白さ。著者の絵解きの妙によって、当たり前の名画として目の前にあった絵がくるりと反転、異様な素顔を覗かせる面白さ。
取り上げられた絵は、全部で二十。
◆ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』 ◆ティントレット『受胎告知』 ◆ムンク『思春期』 ◆クノップフ『見捨てられた街』 ◆ブロンツィーノ『愛の寓意』 ◆ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』 ◆ルドン『キュクロプス』 ◆ボッティチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』 ◆ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』 ◆アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』 ◆ホルバイン『ヘンリー八世像』 ◆ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』 ◆ホガース『グラハム家の子どもたち』 ◆ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』 ◆グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』 ◆ジョルジョーネ『老婆の肖像』 ◆レーピン『イワン雷帝とその息子』 ◆コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』 ◆ジェリコー『メデュース号の筏(いかだ)』 ◆ラ・トゥール『いかさま師』(表紙カバーの絵は、その一部分)
文章を読む前と読んだ後で絵の怖さが格段にアップしたのは、ブリューゲル『絞首台のかささぎ』、ホルバイン『ヘンリー八世像』、ラ・トゥール『いかさま師』の三枚。
著者の文章を読みながら絵を見返していくうちに、絵の表情が違って見えてくるような。提示された絵に潜んでいた怖さが、じわりじわりと染み出してくる、何かそんな感じ。文章の語り口が心憎いほど上手いので、自然、引き込まれていきます。
ミステリの面白さと驚きに通じる、スリリングな知的興奮に満ちた名画鑑賞集。豊かな知識に裏打ちされた著者の、鋭い洞察力に満ちた指摘に、あちこちで、目から鱗がぽろり。
興味深くておもしろかった。
(2008-07-16)
すごく読みたくて読みたくてワクワクしながら読み始めました。
期待しすぎていたせいかもしれませんが、皆さん怖い、怖いと言いますが、私はそうでもなかったかなー
怖いという表現は少し大げさかも、と感じました。
確かに、有名な作品がいくつも挙げられて、説明を読むたびに「なるほど」と驚いたり、感心したりして読ませてもらいました。
絵の背景を垣間見れた事がてもおもしろかったです。
欲を言えば、もっとたくさんの作品を挙げてほしかったかなと思います。
精神的な怖さが一番怖い
(2008-07-15)
この本で取り上げられている20枚の絵は、視覚からくるだけの情報でも十分に
陰惨であったり薄気味悪かったりする絵ばかりだ。
しかし、さらにこうやって情報を与えられると、その恐怖は格段と増す。視覚で
伝わる情報は私が感じ取っただけの恐怖であり、それはそれで怖いのだが
事実は小説より奇なり、とはまさにこのこと、想像のはるか上をいく恐怖がそれぞれの
絵にはこめられている。
作者としては、もしかしたら解説などなく、絵をみただけで味わって欲しいのかもしれない。
画家、だから。しかし、もっともっと知りたいと思ってしまう鑑賞者としてはこういった
「絵の裏の情報」はのどから手が出るほどほしいものだ。
20枚の絵の中に、数枚実物をみたことのある絵がある。ただ、そのときは私には
さしたる知識もなく、また美術を学んだこともないのでとんと見当はずれのところを
鑑賞し、それなりに「怖い」とか「すごい」とかわかった気でいた。
しかし、名画と呼ばれるものには、つくづく鑑賞者にも教養がないといけないのだと
この本を読んで感じた。「その人なりの見方で、思うがままに見ればいい」なんて
嘘だ。現に私は、絵の肝心な部分を見逃していた。こんなところにわかりやすい
恐怖の小物が描かれていたのか。この可憐な女性は女傑と呼ばれる女だったのか。
恐怖云々でなかったとしても、解説があってはじめて絵にも触れることができたと思う。
恐怖は人の心にある、とつくづく思う。
視覚からくるグロテスクさ、という恐怖よりも 情報からくる精神的な恐怖のほうが
格段と怖い。あとからじわじわくる絵もある。
20枚の絵にはそれぞれ違う意味での怖さがある。ホラー映画の怖さとはちがう。
知性を刺激してくる恐怖であった。
バックにある社会風潮や物語に隠された怖さ
(2008-05-29)
取り上げられている20作品には、見た目からおぞましさを感じる絵もあるのですが、この本の特徴は、何と言っても、見た目は何でもない普通の絵でありながら、そのバックにある社会風潮や物語に隠された怖さが語られていることでしょう。
その典型が、作品1のドガの「エトワール、または舞台の踊り子」でしょう。
ドガの有名なこの絵を知らない人は少ないでしょう。
舞台中央で踊るプリマドンナの表情に媚を見ると言われても、客商売で人気を維持するためには当然だろうと思ってしまいます。
でも舞台の袖の黒服の男が、パトロンで彼に媚を売っているのだと言われると、「えっ」と思ってしまいます。
確かに、当時の「踊り子」と言う商売が、非常に身分の低いものであって、売春もどきのことが行われていたという話は、小説等で知識としてはありました。それが、ドガの絵を見た時に結びつかない私がいました。
ドガの絵=名画と言う先入観が、そこに描かれている対象を浄化して見せているのかも知れません。
作品19の「メデュース号の筏」(ジェリコー)にしても、学校ではピラミッド型構図の典型として教えられた記憶があり、その描かれた史実については知りませんでした。その裏にある時代背景や身分による差別があったこと、その結果起こった147名中の生還者10名という事実、そして人肉さえ食らったということ、確かに、それを考えると「怖い絵」です。
一番気になったのは、作品14「マリー・アントワネット最後の肖像」(ダヴィッド)です。
いろんな彼女の肖像画は見知っていますが、余りに年老いて美しさの奪われた顔がそこにあります。若くして処刑されたと言う事を知っているだけに驚きでした。
ただ、処刑台に向かうと言うのには、余りに泰然としており、崇高ささえ感じられるような態度に見えます。
改めて、彼女の人物を知ることが出来たような気がします。

