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戸田山 和久

日本放送出版協会

グループ:Book

ランキング:32888

価格:¥ 1,176

ポイント:11 pt

発売日:2005-01

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カスタマーレビュー

基礎体力がつく  (2008-11-21)
会話形式で読書の敷居を低くしてくれているが、内容は濃い。科学哲学上の議論や著者自身の見解(日常的直観にかなう実在論の擁護)をコンパクトに読者に伝えることに成功しており、知的好奇心を十分満たしてくれる。時々迂遠な言い回しもあるし、またそもそも事の性質上、抽象的にならざるを得ない部分もあるし、必ずしもやさしい本ではないので、ある程度強い関心がないと途中で挫折するかもしれない。しかし、こうした分野に関心がある人の一冊目として、とてもお勧めできる本である。一度目にわからない部分があっても、二度読みする価値があると思う。二度読まない場合でも、次に新たなものを読むときの基礎体力を作ってくれる。巻末の読書案内も親切。

多様な論点があるため、とても一言でまとめられないが、個人的に疑似科学への臨み方で肝に銘じたいところがあった。それは、疑似科学を批判する場合、それを「間違いだ」といっても、その非科学性を示したことにはならないということ(なぜなら科学の歴史ではあとで「間違い」とわかる主張にあふれているから)。「大事なのは、『間違った科学』がそれでも科学なのはなんでかってことでしょ」(p.81)。

科学哲学という科学的アプローチ  (2008-11-14)
科学という活動を理解するために、理論と経験、科学的方法論、帰納と演繹、確証と
反証、科学的説明などという概念を説明し、これらを用いて、科学哲学という
学問を定義し、それが何を目指しているかを明らかにすることに本書前半部は
費やされます。

哲学科と生物物理専攻の学生(その名も、テツオとリカ)が先生と対話しながら
事象を検討していく形で話題は進行します。時に既出の話題について触れる際に
各人が説明口調になるところなどは、やや無理を感じますが、それ以外では、リカと
テツオがそれぞれ科学と哲学的視点から持論を展開して、平易に科学哲学を定義
しようとする著者の工夫が伺えます。

科学実在論、反実在論と社会構成主義の三者の区別などを含め、科学者が通常
用いている科学理論についても、例えば「科学理論は実在のありのままの姿を
述べたものか」とか、「科学理論が微修正された場合、それが同じ理論だと言う
ための基準は何か」などは私にとって新しい視座を与えてくれた気がします。

本文は素晴らしい。しかし何故「伊勢田」が推薦図書なのだ?  (2008-08-19)
非常に素晴らしい。判り易い。特に本文中の「帰納演繹の表」は、辞書代りに使っている。
一か所を除いてなんの文句の付けようもない。しかし、あとがきで伊勢田哲治氏の「疑似哲学と科学の哲学」を推薦している。戸田山先生の言うとおり、帰納演繹が近代科学の手法なら、その通りに伊勢田氏の文章を当てはめてみれば良い。肝心なところでレトリックをすり替え、また著名な学者の権威を借りてくるなど、論理学を理解していないと言っていいだろう。事実、伊勢田氏は「論理学の初歩的説明は荷が重い」と本文中に書いている。何をかいわんや、である。論理学的基礎無くして、何の科学哲学か。しかも進化論への論理学的なアプローチは皆無なんだ。
”「宗教団体」は非科学である、ゆえにそれに対立する進化生物学は科学である。”
論理的に正しいかね?
戸田山先生が伊勢田氏を推薦するのは、反論、論難を示しているのであれば腑に落ちる。もしそうであれば、やり方としてはいささか潔さに欠ける。第一、この本が素晴らしいと思ったからこそ、ステップアップのために伊勢田氏の著書を購入したのだ。

さて、唯一この著書の難点だが、戸田山先生も論理学的な「進化論」への科学哲学的吟味を回避している。科学哲学入門の具体例になりえないからだ。枚挙的帰納法での進化概念の立論は、言語的に無理だ。しかし、帰納法には「類推」による立論も許されている。しからば、だれか進化概念を類推してみて欲しい。まともな文章を書けることができるだろうか。
進化概念の抽象化は無理だ。「変化」の各論を積み上げて、外部の人間を煙に巻くのがオチだ。量子物理学も形式論理学的立論は不可能だが、実利的な有効性を示しているし、事実コンピュータがそれを証明している。

読みやすい!わかりやすい!!何より、面白い!!!  (2008-06-08)
「科学の究極の目的とは何か」「そもそも科学とは何か」等の諸問題を扱う科学哲学。
本書はその科学哲学の、(日本語で書かれたほとんど初の)入門書です。

著者曰く、「科学哲学という分野は、哲学と科学のおいしいところをいっぺんに味わえる」そうですが、確かにその通り!!
「哲学にも科学にも興味がある」人々にとってこれほど上手くハマる分野は他にはありません。
また、どちらか一方の知識がある人々にとっても、その知識を補完する上で有用なのは間違いないでしょう。

対話編になっていて読み易いし、所々でてくる難しい内容に対しても丁寧な解説が入ったり、コミカルな絵や絶妙な表でまとめたりしてくれているのでスラスラ読めてしまいます。
理系の話題が出てきても、解説で簡単に説明してくれているので文系の人でも大丈夫。
とにかくわかりやすい。

巻末のブックガイドも、どういう基準でオススメしているかも書いてあって◎。
学術書ではないので、内容の充実っぷりに比べて値段もリーズナブル(だと思います)。

書いてあること全部が面白過ぎてワクワクしながら読みました。

ハート・ウォーミングな結末  (2008-06-04)
久しぶりに食事をする間も惜しみながらの読書という、幸せな時を与えてくれる本だった。
内井惣七 著 1995年『科学哲学入門――科学の方法・科学の目的 』世界思想社、が、
自分にはちょっとレベルが高くて挫折しかけている時に(情けない…)、手にとったのが本書。
科学哲学や科学社会学などに関心を持つ人にとっては絶好の入門書だろう。
ちなみに著者の読書案内によれば、内井の本は、次の次に読むべき本だそうな。

本書では、理系のリカと文系のテツオという、ありえないほどの理解力を持った学生二人と、
センセイとが対談を進めることで、科学哲学の議論をわかりやすく解説してくれる。

知らないことだらけだったけれど、一番勉強になったのは、
科学に対する強い社会構成主義(地球上でリンゴが地面に落ちることを説明してくれる「万有引力の法則」も、
科学者たちの言説活動以前には存在しない社会的に構成されたモノナノサ!といった主張)が、
哲学的な伝統の中では「観念論」に位置づけられるということ(常識か)。
テツオが社会構成主義者を演じてくれているのだけど、リカがこの立場を一蹴する。
「そんなヤツには、ビルの20階から飛び降りてみろ、って言ってやりたいわ」、と。
社会構成主義にシンパシーを持つ自分としてはちょっと痛い。

実際のところ著者の仮想敵は「観念論(社会構成主義)」ではなく、「反実在論」である。
著者曰く、「反実在論」とは、観察可能な対象の実在をも否定する「観念論(社会構成主義)」とは違い、
観察不可能な対象(たとえば電子)についての実在を否定する立場である。
分析的には、「反実在論」には観察不可能な対象「自体」の実在は認めるけれど、
その「理論」の実在を否定する、限定的な反実在論が存在するらしく、これが難敵らしい。
そして、この限定的な反実在論の立場と戦うには、科学理論についての意味論的な立場をとることが有効らしいのだが…。
残念ながら、このあたりで私の理解能力を超えてしまった。

それでも読了できたのは、本書をすでに読んでいた友人に、
「ハート・ウォーミングな結末が待っているよ」、と言われていたから。
彼の言に違わず、最後の数ページには著者の「科学哲学」に対する熱い想いが込められていて、
最初から読んで来たあなたならきっと涙ぐんでしまうはず。
たぶんこの部分は最初に書かれていて、本書執筆の間に何度も推敲されているのだろう。

もちろん本書のような教科書で分かった気にならずに、科学哲学の原典に当たらなければならない…のだが。
でもいいじゃないか、楽しければ。
まずはここから。

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