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アイテム詳細

藤原 正彦

新潮社

グループ:Book

ランキング:71462

価格:¥ 1,155

ポイント:11 pt

発売日:2002-05

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カスタマーレビュー

どんな天才でも挫折はある!  (2008-09-17)
著者が尊敬する天才数学者9名を取り上げ,その輝かしい栄光(業績)の裏に秘められた挫折をエッセイ形式でまとめている.

感心する点は,著者が直接数学者の生誕地や業績を上げた地へ赴き,本人または所縁の人々とのインタビューを通して,私生活を含めた人となりを掘り起こしているところである.

本書を書く動機は,他の同様の書籍では,業績のみに焦点が当てられていて,数学者の人物像が述べられていないので,自分で書こうという気になったようだ.

著者が数学者ということもあり,業績の紹介は分かりやすく,また文章的にも読みやすくまとめられている.

藤原氏最高の名著  (2008-04-19)
藤原正彦氏の著作を読み通すきっかけとなった、自己の中では藤原氏最高の名著。さすが数学者と言わんばかりの、無駄がなく理路整然とした事実、事象の記述、藤原氏特有の誇り高き一面と、ユーモアがちりばめられている。

作中、自分の中で最も胸打たれたのは、20歳で夭折したフランスの天才数学者、エヴァリスト・ガロワの生涯である。自分自身も若気の至りで反体制的檄文を高校当局に送り続け、ひどい目にあった記憶があり、届かぬ自己主張の歯がゆさは身に染みているのだが、彼の場合、別に天才的能力を有しているがゆえに余計、激情に溢れていたのだろうと推測する。劣等感と優越感は、ある意味同じものであるので(一方が抑制されているとき、他方が必ず別の形で顔を出す。)、高い才能を評価されなかった彼の激情(この場合、劣等感からあふれ出る強引な優越感)が爆発していたのではないだろうか。

数学に興味なくとも、偉人伝に興味あらば、非常に高い確率ですばらしい本となり得るので、是非ご一読をお勧めしたい。

ただし一つだけ引っかかるところがある。よく考えてみて欲しい。悲痛な人生を送り、超越した努力をもってしても立身かなわなかった凡人はいくらでもいるのである。天才だから、挫折というのは どうか。

要はギャップの問題だと思うが。

美を追い求めた天才達の列伝  (2007-08-18)
まず、著者の抜群の文章力に驚く。さすがに「祖国とは国語」を上梓するだけのことはある名文によって、何れ劣らぬ天才9人たちの、決して栄光だけではなく、山高ければ谷深しの言葉どおりの失意や挫折もあった生涯を鮮やかに描き出す。著者は天才たちのゆかりの地に実際に足を運び、その土地で著者が考えたことや著者の天才達への深いオマージュに満ちた行動(例えばハミルトンが四元数をひらめいた橋に思わず走って行き、橋に触れ、ひとしきり感慨にふける等)が随所に散りばめられており、著者の暖かい人間性が伝わる紀行文の傑作にもなっている。数学が地域の文化と決して無縁の存在でないこともわかる。

著者には「心は孤独な数学者」という文庫本もあり、ニュートン、ハミルトンに関してはほとんど同じ・若干詳しい構成であり、ラマヌジャンにいたっては文庫本の方が4倍ほども分量が多く、それだけ本書より優れた評伝・南インド紀行になっている。しかし、本書には写真の頁がある。ニュートンとハミルトンに関しては重複があることを覚悟して、本書と「心は孤独な数学者」を両方読むことを私は薦める。

他の6人に関しては本書のみということになるが、フェルマー予想を巡る数学者達の3世紀半の激闘を概観し、遂に証明に至る過程をドキュメント・タッチで描く「アンドリュー・ワイルズ」の章が本書の白眉ではないだろうか。その中で多くの日本人の予想・定理が取り上げられていることは、関孝和の章とともに、独創性がないと卑下しがちな日本人に自信を与えてくれる。

本書は、この世は美しいという信念の下で美しい数学を追究した研究者たちへの美しい敬意に満ちた本として一読に値することは間違いない。

数学者の人間性を浮かび上がらせる良書  (2006-12-31)
『国家の品格』で一躍有名になった筆者の本。数学界の9人の天才の素顔を追うという本で、筆者が彼らの故郷を訪れたりするため、紀行文としての味わいもある。
ぼくは文系で、数学者は縁遠い人種だが、彼らの生き方は非常に面白い。公式や定理というものは、ひとつの真理から演繹的に辿っていけば、自ずから到達できるものだと思っていたが、どうもそう単純なものではないらしい。
夏目漱石『夢十夜』に登場する運慶は、木材を仁王のかたちに削るのではなく、埋まっているものをそのまま掘り出すのだ、と語る。ならば、そこには掘り出すものの意志が、美学がなければならない。
数学者も同様だ。文学や芸術に熱心だったワイル。「数学者は詩人でなければならない」と語ったコヴァレフスカヤ。「女神ナマギーリのおかげ」で発想を得ていたラマヌジャン。筆者は言う。和算家のレベルはニュートンに比べ遜色なかったが、『プリンキピア』は絶対にものに出来ないだろう。神による調和への絶対の確信、信頼がないからだ、と。
そんな事実を知ると、数学者がちょっとだけ身近に思えてくる。

人生の幸せ  (2006-12-28)
 ニュートンや関孝和といった天才数学者9人の伝記です。それぞれの業績には一般的に触れるに留め,その生涯を生身の人間的な観点から追っていく本です。

 現在まで名を響かせるような天才的な業績を残した数学者たちでも,数学一本にその生涯を注ぎ込むことができたわけではなく,経済的な問題,家族の束縛,その時代の嵐や宗教の足枷等が障害となって立ちはだかることが多々あったことが描かれます。そして,それにもめげずに数学への情熱と才能により,歴史に名を残す偉業を成し遂げる過程が書き記されています。そのバイタリティと能力,めぐってくる幸運には驚嘆するばかりです。

 しかし,その人自身が希望した分野への打ち込みがあり,その結果として,輝かしい業績が結実しても,幸福な人生を送ることができた人ばかりとはいえないところに,人生の難しさを感じます。幸福とは,思うように人生を送ろう&送ったとしても手の届かないものなのでしょうか・・・。

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