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岩波書店
グループ:Book
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カスタマーレビュー ![]()
古めかしい翻訳だが、内容が実に面白い。英語版が欲しい!
(2008-02-21)
札幌農学校で外国支援を受けぬ日本人教会設立に奔走する著者の努力に敬服した。私自身地元の教会の草創期に関わった者として、多くの共通点を見出し、いやが上にも共感を深めた。もったいないから未だ読了していませんガネ。
アメリカに留学する人に是非とも薦めたい本
(2007-06-17)
表題の通り、キリスト教徒としての著者の内面の軌跡をつづった本だが、キリスト教信仰に留まらず、広く訴える内容をもった本である。特に比重が大きいのは、アメリカ体験と「日本人」としての自我の探求というテーマだろう。
札幌農学校でキリスト教に触れた内村は、無垢で非現実的な「キリスト教国」のイメージを抱いて海を渡る。しかし彼は、金銭が支配するアメリカ社会に幻滅し、「日本人」としての自分を見出して日本に回帰する。内村はアメリカのキリスト教徒の偽善や、「異教国」に対するいわれなき優越感を、真のキリスト教に反するものとして激越な調子で批判し、イエスと日本という「二つのJ」のみに仕えることを誓い、無教会派キリスト教の立場に到達する。内村のアメリカ批判は、当たっているが激越であり、その反動か、彼の描く日本は、現実離れして牧歌的である。
内村の心の葛藤は、容易に海を渡れる今日から見れば、必要以上に肩肘を張った大袈裟なものにも見えるだろう。しかし、留学にかける彼の志の高さや、キリスト教と日本人としての自我を調和させようとする真摯な努力には、やはり我々の胸を打つものがある。私も留学時代に本書を愛読した一人だが、アメリカで困窮した内村が、クリスマスに、恩師に学資を無心に出掛けたものの、金のために自分の独立心を売ることは出来ぬ、と諦め、一人とぼとぼガラ空きの学生寮へ帰る箇所など、涙なしには読めなかった。
内村の文体も、翻訳では間接的にしか分からないが(原文は英語)、聖書や英語の詩歌を自らの血肉としている点で特筆に価する。内村は、日本を離れる船の上から水平線に沈み行く富士を目にし、遠ざかりゆく母国の象徴に賛歌を捧げるのだが、富士について書かれた文章で、かくも高揚し、霊感に満ちたものが他にあるだろうか。
初めて読む人は、日記形式の文章が多いのに戸惑うだろうが、アメリカに留学するなら是非読んで欲しい名作である。
現世的効能もまた
(2007-05-30)
自身の日記をもとにした、回心の告白。
渡米後、神学書をひもといて信仰を深めていくその内容については、本書に詳細が語られているわけではない。日本での学生生活とその時期の回心については、当時の雰囲気を伝えていて興味深い。神学的な意味で中身のある文章ではなく、回心の過程もキリスト教徒以外には無意味に思える。
異教徒としての日本人が本書から得るのは、その時代の暮らしぶりと、著者の心情だろう。読みやすく、当時の情熱が伝わってくる意味で、古典として長く読まれるにふさわしい。
ズバリ、和風キルケゴール。「信」へ至る魂の軌跡。
(2004-11-08)
キリスト教に出会い、信仰と思索を深めていった過程を綴った若き頃の自分
自身の日記。それについて、後日注釈しつつ振り返る、という凝った体裁を
とっている。自伝的要素は濃厚にせよ、どこかしらフィクションの香りすら
漂ってくる。勿論、いい意味でだが。
キリスト教に初めてふれて、信仰に目覚めるまでの冒頭がまず笑わせる。
学校で半ばいやいやながら契約書に書名させられてサークルに入会。
ところが、一神教であることを知るや否や、八百万の神へ祈る手間が省ける
と喚起!強迫神経症ぎみだったのか?。経済を「金銭至上主義」と揶揄する
反面、金策の都合に大袈裟な表現で一喜一憂する様は、何とも若者らしく薄っ
ぺらで可愛らしくさえ思える。そんな鑑三が次第に教会の党派性に疑問をもち
所属協会から独立、家族をも入信させる。ついには、本場ニューイングランドへ
渡航。幻滅の中でも神への信仰を深めつつ、教義としての神学の限界を喝破し、
ついに帰国を…。何とも凄まじい「信」の軌跡だ。
鑑三はどの教派・教義にも組みせず、独自に自分の一日本人としての心性を見つ
めつつ、神に向き合うことに信仰の本義をみる。キルケゴールの「単独者」が浮かぶ。
「最大の光にともなう最大の暗黒」と、キリスト教的思考の「悪」的要素を探り当て
る嗅覚も鋭い。まあ、正直、身内にいたらめっちゃ迷惑なタイプやけど。
濃密な信仰、文化についての論考
(2004-07-17)
かなり内容の深い本である。全くキリスト教と無縁だった著者のキリスト教に入信する経緯をテーマにしながらも、西洋文明に出会った明治維新当時の歓びや驚きや戸惑い、異国での体験、いわゆるキリスト教国に対する観察、愛国心、宣教、東西文化の差異、信仰面での苦悩や葛藤など、幅広い内容が絡み合い、密度の高い文体に凝縮されている。
本文は著者自身の日記を引用してからそれに対して長短様々なコメントを付け加えるという形式で話を進めている。一応著者の中学校時代から渡米、帰国までの軌跡が描かれているが、内容の主眼は著者の「魂の遍歴」のほうにあるため、描写は心情、思想に偏り、具体的、外面的な事実の記述がやや乏しい憾みがある。なぜそういう心情に至ったか、あるいはそういう行動を採ったか、説明不足の感じがする部分があり、また唐突に別のテーマに切り替わったりして、内容の整理が不十分なところもたまにはある。そして何よりも悩ましいのは、ぎこちない訳文(原作は英語)である。だが著者の考察と観察の深さはそれらの欠点を補って余りある。1世紀前に書かれた本とはいえ、現代にも通じる様々な問題を提起しており、信仰の有無を問わず、じっくり読めば必ず考えるためのきっかけが掴めるはずだ。

