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夢枕 獏

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:196185

価格:¥ 590

発売日:2005-10-07

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カスタマーレビュー

早川の鮎  (2008-03-22)
 1989年に講談社から単行本、1992年に講談社文庫として出たものの復刊。
 夢枕氏の作品として珍しく、5年という長期間をかけて執筆されたもの。自身の鮎釣り体験をもとにじっくりと醸成されただけあって、鮎へかける思いが詰め込まれているように感じた。
 私にとっては地元の小田原・早川が舞台となっており、そこでの釣りも体験したことがあるので楽しめた。しかし、それ以外の土地の鮎好きにはちょっと違和感があるかも知れない。小田原の鮎釣りは、友釣りではないのである。毛針で釣る、一種の餌釣りなのである。それにまつわる蘊蓄・特殊な釣法も登場しており、面白い。

大物に執念をかける物語  (2007-08-01)
ただの鮎釣り好きの主人公(その後アユ釣りへの姿勢が大きく変わりますが)と早川に住む大鮎を釣り上げることに執念を燃やす黒淵の物語。川は比較的「主(ぬし)」的な大物が存在するストーリーが描きやすいという話を聞いたことがあります。物語も釣りキチ三平に出てきそうなストーリーではありますが、もちろん大人向けの読み物で、黒淵の残りの人生をかけたギラギラした凄味が伝わってきます。自分はアユ釣りをしますが、この本で出てくるチンチン釣りではなく友釣りの方が好きなので、物語の冒頭で「どうかな?」と思いましたが、その後スンナリとしかも一気に読めました。読み終わった後の爽やかな感じが不思議と心地よさを感じさせる物語です。

狂気の魅力  (2007-05-02)
 どんなことにも「超えてはならない一線」というものがあるが、主人公が、自分ではわかっていながらも次第にその一線を踏み越えてしまう、そこに至るまでの経緯が流れるような展開で表現されている。釣りをする者にとってはたまらない一冊なのである。
 自分も超えてはならない一線を超え、今見えないもの、その境地に達して初めて見えてくるものを見て見たい気がするが、その時に引き返すことができるのだろうか?もう二度と帰ってこれないのではないか?この本には狂気の世界が、超越した世界が見事に表現されている。
 主人公が"黒淵"に向かって「おれ」という言葉を発するくだりを読む時、背中を何かが突き抜ける。狂気の世界への入口がここにある。

自分は読まない作者の本だと思っていた  (2005-10-21)
私は釣りもしないし、鮎が好物なワケでもなんでもない。更に、この作者の伝奇ものはその暴力的な表現がとても苦手だった。

しかし、先輩が貸してくれたこの作品の文体に流れるリズムは、心地の良いものだった。私にはディティールが全くわからない釣りのコトバはこのリズムに乗ると(完璧に理解させるワケではないが)作品世界に浸かるように助けてくれる。

そして、時には強く、時には優しく、主人公たちを翻弄する...それが心地よくてつい自分で改めて買ってしまった本である。

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