海鳴社
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パウリ入魂のケプラー論が出色
(2008-08-09)
随分以前に読んだが、最近ケストラーのケプラー伝を読んだので再読。
ユングとパウリの論文が収められているが、ユングのものは正直どう
でもいい。素直に読めば本質はオカルトそのものです(検証しえない
事物の背後にある「隠されたもの」を問うという、言葉の本来の意味
でもそうです)。フロイトと襟を分かつ主因となったといわれる方向
性が遺憾なく発揮されています。
パウリの論考にはユングとは少しことなる色合いを感じます。
「科学的理念の展開に対して知識の前科学段階が持つ意義」と述べて
います。パウリ自身、合理性が悉く常識的枠組みを打ち壊していく量
子論の画期を切り開くなかで、多分内なる何かを感じたのではないで
しょうか・・・。ケストラーはケプラーのそうした要因を「固定観念」
と控えめに表現していますが、パウリははっきりと「元型」といいき
っています。パウリ自身が「こう考えざるをえない」と感じたその時
に、そうした自分をギリギリのところで誘導する何かを考えざるをえ
なかったのか?ユングのどちらかというと形而上学的(そう呼ばざる
をえないでしょう)な非因果律原理、元型論に対して、パウリのそれ
が、もっと実感のこもった経験者の趣を感じさせるのは気のせいでし
ょうか・・・ケプラーへのシンパシーみたいなもの。
観察者と観察される系の間の「裂け目」という言い方もしています。
直接は所謂、不確定性のことを指しているのでしょうが、「裂け目」
という比喩に託したのは、たぶんウィトゲンシュタインの「世界の限
界」と同じ認識だと思います。科学的合理性の臨界点、とでもいいま
しょうか。。。
パウリは自分が歩いてきた道をふとふり返って、なにかそこにその軌
跡を創造せしめた理を感じ、同じようにその何かに翻弄された同類
としてのケプラーに強く惹かれたのではないでせうか。そんな気がし
ます。
W・パウリの真の意図は?
(2004-05-01)
パウリと言えば、現代物理学の中で異常に大きな業績を残した鬼才であり、量子力学の形成、場の量子論の創造に基本的な役割を果たした。
パウリの排他律、β崩壊の理論におけるニュートリノの導入、基本的なものを数え上げても切が無い位だ。その確かな洞察力は、多くの物理屋に信頼をかち得ていた、というより恐れられていた、と言うのが正しいであろう。パウリは余りにも鋭すぎるのである。
わずか21歳で書き上げた「相対性理論」は、今も名著として通用している。翻訳と解説を書いた内山龍雄先生は、若いパウリの天才に舌を巻いている。この歳でパウリは、それこそ物理学の文献の大半を読みこなしていたらしい。
しかしこの付けは、後年パウリを襲った、彼はその研究を進行する為、夜の大半を、異常な集中力を持って研究したため、不眠症になり、その解消を睡眠薬と言う手段で解決したらしい、数学者F・クラインと同じ方法を採ったのだ、その副作用は後年の心的平衡の乱れを生んだのであろう。ETHの教授をしていたパウリは、C・ユングに治療を受けていたと言う。もし、この様な長年の薬の使用が無ければ、パウリはもっと長生きしたかも知れない。
数学と物理的洞察の天才であるパウリが、この様にケプラーを取り上げ、その創造的深遠を探求するとは、信じられぬ思いが強い、何故ならパウリは、数学的合理性の鬼才の様に思えたから?確かにヨハネス・ケプラーは、天体力学の先駆けであり、総じて近代科学の源流の一人である。彼は神聖ローマ帝国の宮廷数学官で在ると同時に、占星術師であり、占星術的世界観を、心底信じていた人である。そういう反面、ケプラーは惑星系の調和を正多面体の内接による天体構造として模索し、J・ベルヌよりも三百年早く、月への旅行を夢想していた人である。
直接関係はないが、アーサー・ケストラーの「夢遊病者達ーの中のケプラー伝」は、ドイツ三十年戦争のさなかに、新世界を開拓したヨハネス・ケプラーの人生を感動的に描いている。
この本を読んだのは、今から三十五年も前の事だが、投稿者のケプラー認識を今以て規定している。
ケプラーの時代を超えた偉大な才能は疑うべくも無いが、由りによって、シンクロティーと謂う概念を基に、このパウリがユングと人間の認識に関する深遠を共同研究するとは!因果律と存在論の統合としての認識論(偶然と必然)−我々の時系列とは異なる時系列が宇宙にはある。或いは、この異なる時系列は現象の奥で重なり合っているか?
合理的知性を越えたところの世界にパウリが心底興味を抱いたとするなら、それは、極めて面白い、事に拠ったら何か在る?パウリの真の意図と洞察がどこに有ったかは、この書を読みそれ以上に、問う事だろう。
人間の無意識の深遠、理解の起源、真に解るとはどんな事を言うのだろうか?
人が思念する事の効果をC・ユングやW・パウリはどの様に考えて居たのだろうか。
心の構造という物を、未だその本質を我々が理解していない事は確かであろう、物理学の真の奥底に横たわる問題に触れて見る機会と反省をこの本は持つかも知れない?
偶然の一致はあるか
(2003-05-26)
ユングと高名な物理学者のパウリは意味のある偶然の一致(シンクロニティ)について、非因果的な法則があるのではないかと共同で研究する。




