コモンズ
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発売日:2005-12
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ドキュメンタリー制作者の苦闘
(2006-03-09)
1970年代初頭に、トロブリアンド諸島で3年をかけてクラ交易のドキュメンタリー・フィルムを撮影したディレクターの回顧記。著者はマリノフスキーの著書『西太平洋の遠洋航海者』を読んでクラ貿易に興味を持ち、プロデューサーの全面的なバックアップを得てトロブリアンド諸島へと乗り込むが、彼女が30分×3本のドキュメンタリーの素材を撮影できるまでには、恐ろしいほどの時間と忍耐と苦労と物資と人間関係が必要となった。
まったく手探りの状態から出発して、時にはクラ交易のステップが次に進むよう手助けもしながら(ヤラセかどうか微妙な線である)、時には絶望し怒り狂いながらも、ついに9艘もの航海カヌー船団によるクラ交易の撮影に成功する物語は、フィールドワーカーなら「ああ、こういうのってあるよね」と深い共感を持って読めるであろうし、これからフィールドワーカーになろうという人には、フィールドワーカーの苦しみと喜びの核心を予感させてくれるだろう。
面白かったのは、著者がクラ交易の本質とはなにかをまったく理解できず、何度もプロデューサーに弱音を吐くところである。時代は構造主義人類学が世に広まっていこうという時期。これがポストモダンの洗礼を受けた現代の若者なら、もう少しスマートに対象をまとめられるのであろうが。この辺はまさに時代性というものであろう。




