みすず書房
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発売日:2004-10-06
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カスタマーレビュー ![]()
生と愛の真実
(2008-07-05)
極まったなぁ…と、読んでいて絶句しました。
いままで私が読んだ哲学書や精神医学関連の本は、これを深く理解するためにあったと言えます。
著者は精神医学、心理学、哲学、宗教、そして自らの体験から多角的に「生きがい」の意味と精神の動きを考察します。
死を背景に生きる患者や死刑囚。彼らの手記と対話を手がかりに、「生きること」「愛すること」の真実を解き明かしていきます。
著者の、経験と学識による、圧倒的な説得力と真実性。
患者らの、身体的・環境的制約から立ち上がる、精神の気高さと豊かさ。
[人間そのもの]を見つめた本ですから、当然美談で飾られたものではありません。
少しだけ引用させてきただきます。
「自然は総ての生物を抱え大きく呼吸し、無言の愛情の中に抱いてくれるのです」
「私の悩みは人類の悩みだ」
「人の世をはなれて人の世を知り 骨肉をはなれて愛を信じ 明を失っては内にひらく青山白雲もみた。らいは天啓でもあった。」
(ハンセン病患者)
「その姿の根底にあるものが真の愛であるか、それとも単なる利害関係によるものかを問うのは止めよう。真の愛は自らを語らない。意識すらされないのがほんとうであろう。愛はただ黙々としてはたらく。」(著者)
もし「生きがい」を見失ったあなたがこの本を開いたならば、読み終えるころには、「生きがい」は自分自身に統合され、「かけがえのない意味として宇宙に立つ自分」に気付くことでしょう。
読む資格があるかどうか未だに分かりませんが
(2008-03-01)
巻末の坪内祐三氏の“むしろ私は生きがいについて、というタイトルの本に安易に手を出すヤワな読者が嫌いだ”という強烈な書評に戸惑わされます。 読んでみてわかりましたが、これはある意味で的を得た論評です。 なぜならこの本の中で神谷美恵子女史は“生きがいとは何か”という答えを読者に与えてはくれないからです。 これはむしろ当然のことで、人に教えられた生きがいなど、所詮生きがいとはいえないからでしょう。
当然のことですが、精神学的な分析や叱咤激励など、“生きがい”というものに苦しめられている人にとってはなんの助けにもなりません。 むしろ腹立たしいだけでしょう。 神谷氏は医師であり、不条理なまでに“生きがい”を剥奪されてしまったハンセン氏病患者とともに生きた人です。 そしてこの本の中で彼女は、古今東西の様々な“生きがいを失った人達”の文章や生涯を挙げて、“生きがい”というものの多様性と本質に迫ろうとしています。 もちろん“これが生きがいだ!”と定義できるものなどは見つけられないのですが、その、生きがいを失った人達ととことん向き合い、話を聴こうとする態度そのものに名状しがたい感銘を受けてしまうのです。 “生きがい”が人それぞれのものである以上、他人がそれを与えたり、失ったそれを取り返してあげることなど出来はしません。 しかし神谷氏のこうした生き方そのもの以外に、人に“生きがいを持とう、充実した生を送ろう”と思わせるものもないだろうと思います。 見事な態度であり、立派な本だと思います。 是非ご一読を。
何回も読み返したい
(2007-05-22)
神谷美恵子の優しい視点からつづられた名著。
人間が生きがいを失って、そこから以下に回復していくのか。
ハンセン病の隔離施設であった愛生園での活動から書かれている。
どんなことでもその人が生きがいとすれば、途端に自分の周りの世界が輝きだす。
そのおかげで明日の命も輝く。
本当に何回も読み返したい1冊である。
存在の意義
(2006-08-23)
「平穏無事なくらしにめぐまれている者にとっては思い浮かべることさえむつかしいかも知れないが、世の中には、毎朝目がさめるとその目ざめるということがおそろしくてたまらないひとがあちこちにいる。」これは本書の冒頭部分である。一度でもこのような思いをしたことのある人、現在このような思いを抱いて生きている人などに是非読んでもらいたい。
最終章で筆者はこう言っている「人間の存在意義は、その利用価値や有用性によるものではない。野に咲く花のように、ただ無償に存在しているひとも、大きな立場からみたら存在理由があるにちがいない。」
本書は自分の存在価値を認められず苦しんでいる人々の救いになる一冊ではないかと思う。
スケールが違う
(2005-09-04)
現在出版されている「生きがい」に関して書かれた著書のほとんどが、この本を参考文献としてあげていることからもわかるように、著者は「生きがい」の研究に真っ向から取り組んだ草分け的存在であると思われます。
日本語における「生きがい」という言葉のニュアンスを包括する他言語が存在しないという点に着目し、「生きがい」という言葉の意味を深く掘り下げることからスタートし、特殊な限界状況におかれた人たち(ハンセン病患者、死刑囚、戦没学生など)の精神世界を、豊富な知識、深い思索、慈愛に満ちた眼差しで描き出していきます。私たちが日常生活を送る上では、むしろ邪魔になるような、極度に精神化した世界がそこに開されていきます。
彼女自身は外交官の娘で、クリスチャンであったと記憶しておりますが、青年期に結核を患い、療養のためひきこもって読書にふけり、苦労して精神科医となった後も、重病を患いながら病気の子どもを育て、仕事と家庭を両立した、まさにスーパーウーマンです。したがって、彼女の紡ぎ出す言葉には言い知れぬ説得力と重みが感じられます。




