扶桑社
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カスタマーレビュー ![]()
映画は映画で小説は小説
(2006-08-28)
シュワルツネッガーを主役に抜擢し、ヒーロー像を見いだそうとした映画の
脚本と違い、キングの原作は少しダークなイメージを背負っている。
そう言う意味では原題の「ランニング マン」という方が小説の内容にはピ
ッタリくるだろう。
主人公ベンリチャーズには競技に参加しなければならない理由があった。
そして、処刑人のみならず、通報者の目からも逃げ続けた末の彼の選択は?
数奇なる運命
(2006-02-12)
差別、偏見、強大な力による抑圧、貧富の差の拡大等キングの描く未来は一般庶民には決して暮らしやすいものではない。自分の体を賭けカネの為にゲームに参加する主人公もシニカルに現状を把握し、進むべき道はそれしかないと「ランニング・マン」のプレイヤーとして不可能なゴールを目指して突き進
む。
体制VS.アウトローの構図が見事に書かれ、テンポ良くストーリーが展開される。非力な一人の人間がどう体制に対して立ち向かうか?が見所のひとつだが、事実は小説より奇なりをあらわしているように、9・11で起きたた時にこの作品を真っ先に思い出した。現在の世界での反体制グループ(テロリスト)がテキストにでもしたかのようなこの小説を驚きと共に読んで欲しい。
読者を「時効待ち殺人犯な気分」に叩き落すキング・マジック
(2005-06-26)
1972年キングが描いた21世紀は、絶望の窒息地獄だった。2025年最大の
贅沢とは?安全な呼吸だった。いよいよ大気汚染は致命的となり。人々は
ノーズフィルターなしでは、たちまち喘息・肺疾患となり。「天気予報の次は、
本日の公害指数のお知らせ…」フリーテレビによる愚民化政策、プロパガンダ。
致命的な社会矛盾を前にマスコミはその機能を失い。無知蒙昧どもに
「殺人ショー」をタレ流す。大衆不満の矛先をそらす道化に成り下がる。
知恵の光・図書館は、日本の大学みたいIDカードで貧民しめだしだってさ。
放射能な工場員だった主人公も、400万人の失業者に仲間入り。このままじゃ
俺もヨメのポン引きに成り下っちまう。娘の薬代もママナラねえ。一攫千金TV
番組、デスレース「ランニングマン」しか望みはねぇ…背景物語も絶望的だが。
100→0章へ逆るカウントダウン章割が、より恐怖感を煽る。映画と違い原作
では、リミット30日間のマラソンレースだ。『逃亡者』リチャード・キンブルな
ノリか。まるで読者の自分まで、時効待ちの殺人犯になった気分。あと15年で
俺は偽名を捨て、病院も定職も手に入る。隣人を疑わず、ポリや警備員にビビら
なくて済むんだ。恐るべしキングマジック!
PS●もっとリアルにビビりたい人→1962『沈黙の春』/1996『奪われし未来』翔泳社
●同じ世界観をシュワちゃんで→『トータル・リコール』(ディック/マイノリティ・リポート収録
こういうキングもあり?!
(2000-12-02)
ショーシャンクやグリーンマイルでキングに触れた方も少なくないかと思う。もちろんキャリーを原点とする日常に潜む恐怖こそキング文学だと主張する方も多いだろう。しかしこのバトルランナーは上記いずれの路線にも当てはまらない、実にスピード感のあるSFである。バックマン名義で書き下ろした一連のシリーズの中では、間違いなくこの作品が一番面白い。ギブスン的なサイバーパンクテイストを無理矢理付け加えた映画版があまりにもファンを失望させる内容だっただけに、展開も設定も、映画と全く異なると聞いただけで、多くのファンはより一層期待が高まるだろう。その期待を裏切らない、文句なしの傑作である。




