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アイテム詳細

大槻 文彦

筑摩書房

グループ:Book

ランキング:23582

価格:¥ 2,310

ポイント:23 pt

発売日:2004-04

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カスタマーレビュー

今なお味わいぶかい辞書  (2007-04-21)
 昔のも縮尺版の覆製ということで、読みやすいとはとても言えないのは事実であるが、読めば読むほど味のあるが名著として語り継がれるゆえんであろう。
 その示す語釈は、単なる百科辞典的なさめた事実を記述するのではなく、著者の色濃い味わいや哲学がこめられている。辞書というよりは一種の文学作品といわれるゆえんである。
 多くの伝説に彩られた本書であるが、現代の多くの辞書にも影響を及ぼし続けているのも当然であるといえよう。最初に語釈を示す苦労は想像を絶するものがある。その苦労や想像力をしのぶのも読み方の1つであろう。

一大文学  (2005-08-20)
 「言海」の著者である大槻文彦の人生を描いた「言葉の海へ」で本書を知った。「言葉の海へ」は 既にレビューにも書いたが非常に感動的な本であり 読んだ途端に 本書を買いに行かせるものがある。

 字が小さくて見にくい、印刷も当時の復刻にてすれていること等 読みにくいことは確かであるが 「言海」の背景を知った後であれば そんなことは気にならなくなっている。改めて読んでいると これを一人で書き綴った大槻文彦の 躍動する精神が随所に感じられる。そう 本書は「読む辞書」なのだ。芥川龍之介などが「愛読」を告白した 一大文学でもあるのである。

 それにしても 本書執筆の苦労は 「言葉の海へ」に是非当たってほしい。近代初めての辞書を著すことが いかに 悪魔的な作業なのかがまざまざと分かる。その上に聳える本書の価値は 比較するものが無いかもしれない。

今も問いかける、「はじまりの国語辞典」  (2004-09-13)
元の本(大正時代の版)を持っていた。古書市でもとめたものである。

編者 大槻文彦は、父に儒学者、祖父に蘭学者をもち、本人は、江戸の開成所では英学を、故郷の藩校で蘭学と数学を修めている。国学者でも、ましてや国語学者などでもない。

明治の新政府は最初10人ほどのチームで国語辞典を作らせたが、途中で(確か「え」のあたりで)チームは喧嘩分かれしてしまい、辞書編纂は中絶した。では一人にまかせるのがよさそうだと、大槻に白羽の矢が立った。最初、大槻はこれまでの日本の辞書に、足りない言葉や洋辞書から翻訳して加えればできあがるだろうと高をくくっていた。もちろんそうはいかなかった。大槻は17年間格闘して、ようやくこの書をまとめた。

さまざまな語彙に大槻の格闘の跡はみられる。たとえば有名な項目に、「デモクラシー」がある。

「〔英語、Democracy.民主主義、又ハ民主主義ナドト訳ス〕
下流ノ人民ヲ本トシテ、制度ヲ立テ、政治ヲ行ウベシト云ウコト。古エノ所謂、下剋上ト云ウモノカ」

デモクラシーは、いわゆる「下克上」なのである。しかもそう断じず、「〜いうものか?」と今も我々に問いかけている。

辞典本来の姿がある  (2004-07-15)
この辞典は、現代の辞典に比べて次の点で優れている。

1. 現代では失われつつある、美しい言葉を再発見できる。

2. 戦後の国字改革で破壊される前の「正字」「正かな」がわかる。(例:『義捐金』など。『捐』とは本来“捨てる”意。『義捐』は“義のために私財などを投げ打つ”ことだから、音だけを合わせた現在の『義援』では意味が通らない)

3. 編者が勝手にこしらえた「例文」ではなく、出典を示した、正しい意味での「用例」がある。

辞典とは本来、このような特徴を備えたものであるべきだ。必ずしも完璧とは言われないが、少なくとも『言海』にはそれがある。

唯一遊べる辞書  (2004-05-12)
書店で見つけて驚いた。
言海は芥川が遊んだことで有名な辞書である。
開高健も大いに愛読した。
大言海になってだめになったとも書いている。
本書の貴重な解説にも大言海は別物としている。
はっきり言って実用には何の役にも立たない辞書である。
だが読んで楽しく遊べる辞書が他にあるだろうか。
昨今、類語辞典などが読んで楽しいとうたっているが

ちゃんちゃらおかしい。
言海の深さを知らないのである。
本書は小型版の復刻。
それゆえ文字の小ささ擦れはいたしかたないだろう。
解説が勉強になる。
読んでオリジナルが欲しくなった。
神田の古書店で中形を見つけた。
いや、探し当てた。
昭和5年発行、551版と奥付にある。
店主によれば昭和30年まで発行されたそうだ。
その数、1000版。

大形を千版すべて蒐集しているコレクターがいるそうだ。
だから価格が大形だけ別格なのだ。
この辞書には日本語の何というか本質のようなものを感じる。
江戸語から日本語に変わった節目のようなものを感じるのだ。
実用を求めるなら電子辞書の広辞苑でいいだろう。
この文庫から言海が見直され大形が復刻されないものだろうか。

文字の大きさはやはり大形が見やすくていい。
ちくま学芸文庫はニッチな企画を通してくる。
いい文庫だ。

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