光文社
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価格:¥ 660
発売日:2007-07-12
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「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する (光文社新書 319)
カスタマーレビュー ![]()
本文は解説の5分の1しかない!
(2008-10-06)
ま、「エピローグ」という言葉からも予想される通り、この第5巻での『カラ兄』本文の残りはごく僅か、366ページ中なんと63ページまでしかない。残りの部分は訳者による「ドストエフスキーの生涯」「年譜」「解題」「あとがき」である。つまり本文は解説の5分の1しかない、ってこと。
訳者の意向により、このエピローグだけで一分冊にしたかったらしいけど、営業的にはどうなんでしょ?なんか、訳者が自分のカラ兄解説書まで買わせる「抱き合わせ商法」にも感じられる。
で、本編「エピローグ」ですが、やはり大幅なストーリーの展開は無く、最後のアリョーシャの子供たちに対する歯の浮くような「お説教」の後、唐突な「カラマーゾフ万歳!」って、どうよ?冤罪で流刑になっちゃったミーチャはどうなんのよ?脱走計画は?まだ、全然話終わってないでしょうってば!
ま、元々作者前書きの部分で本作は物語の前半部、つまり続きがありますよ〜、って断ってんだから仕方ないかも知れないが、じゃ世間はもっと「カラ兄は未完の作」って事を周知徹底して欲しいよ。
「ドストエフスキーの生涯」は読みやすい文章で分りやすかった。「解題」の方は思い入れたっぷりに書いているのは分るが、ここまでやると贔屓の引き倒しでしょう、って気がしてきた。むしろこれだけ歴史的、伝記的、文化的考証が必要な原作はもはや現代の一般読者が読むにはそぐわないとの感を強くした。
全巻通読後の最終結論=ドストエフスキー代表作は『罪と罰』で決まり、『カラ兄』通読必要無し!
約300ページもの解説、理解を深めるよすがとなる
(2008-08-03)
5巻まで読み終えるのに優に3ヶ月を要した。人間の善悪の本質、キリスト教と無神教、高貴な心と醜悪な感情、重層に繰り広げられる壮大なドラマである。150年経っても、人間の本質はさほど変わらないということを思い返された。
→気に入った表現をいくつか
子供時代の、両親といっしょに暮らした時代の思い出ほど、その後の一生にとって大切で、力強くて、健全で、有益なものはない
どうか人生を恐れないで!なにか良いことや正しいことをしたとき、人生って本当に素晴らしいって、思えるんです!
新約聖書と旧約聖書、とくにドストエフスキーに強い興味を覚えさせたのは、神のむごたらしい試練を受け、信仰を失わないヨブの話
極端に内気で人付き合いの苦手な若いころのドストエフスキー
政治犯容疑のドストエフスキーは、4年間、シベリアの流刑地で人生の奈落を経験
罪と罰 世界文学史上に燦然たる光を放つ小説 農奴解放後のロシア社会を襲った混乱
ロシアが国家としての推進力を失い、崩壊の道を辿りつつあるという、ナショナリストとしての漠とした絶望感
声たちの対話から成り立つ声たちが対話をすることで分裂と結合を繰り返し生成する
(2008-05-31)
すぐれた訳者が必ずしもすぐれた解説者であるとは限らない。本書解題におけるバフチンのポリフォニーへの言及は全くの出鱈目。
本書では「登場人物の多様性による視点の相対化」というくらいの意味ですがポリフォニーとはそのような意味ではありません。
亀山の知ったか振りは、本当にバフチンを読んでいるのかさえ怪しい程で、ただお茶を濁すだけで殆ど何も説明していない。
そればかりかバフチンがポリフォニーの「非常に際立った対話」として詳しく考察している箇所(『詩学』p534-539)を事もあろうに
「ポリフォニーの原理にさからうセリフ」(『本書』p281)等と頓珍漢なことを(しかもなぜか自慢げに)書くトホホな始末。
何も知らないと思って読者を馬鹿にしているとしか思えない。
参考
「イワンの言葉と悪魔の応答とを差異づけているのは、内容ではなく、ただその調子、ただそのアクセントだけである。
しかしそうしたアクセントの移行は、イワンの言葉と悪魔の応答の最終的な意味の全体を変化させている」(『詩学』p454-455)
「悪魔はイワンの内的対話の中に、愚弄嘲笑と絶望的な断罪のアクセントを持ち込む」。悪魔は「イワンのアクセントを悪意的に誇張し、
歪めてしまう」。「アリョーシャもまたイワンの内的対話の中に他者のアクセントを持ち込むが、しかしその方向性は正反対」の「愛と和解
の調子を持ち込む」。悪魔とアリョーシャは「双方とも同じようにイワンの言葉を反復しながらも、その言葉にまったく正反対のアクセント
を付与」する。「対話において衝突し、論争しているのは」絡み合った「闘争する声たち、内部で分裂した声たちのポリフォニー」である。
(同p537-538、p522から再構成)
キーワード
アクセントの移動(変化)/言葉の対話的分裂/意識の対話的分裂/言葉の他者性/私的言語の否定
多声=対話=複声/対話と対話の対話/対話の未完結性=永遠性
『ドストエフスキーの詩学』ミハイル・バフチン(ちくま学芸文庫)特に「ドストエフスキーの対話」p527-562参照。
エピローグより解説が面白い!
(2008-02-03)
本編はエピローグだけで、このエピローグも大したストーリー展開もなく、
自作への布石のようなものだし、実際短いので、それ自体に感銘はないのですが、
その後に続く亀山先生の作者と作品についての解説がとっても面白かったです。
特に作品の解説がとても面白く、自分は自分なりに感銘を受けて読んだのですが、
こんな解釈もあるんだなぁ、とか、確かに言われてみるとそうだったなぁ、と、
この大河小説の深さを教えてくれるものです。
これを読んで、また違った視点から、もう一度本編を読み直してみたいなぁ
と思わせる程の内容だと思います。
できれば次は違う訳者のを読んでみたいです。
作者の解説を読んで、スターラヤ・ルッサに一度行ってみたいと
今切に思っています。
これがなければ...
(2007-10-20)
この5の解題がなければ、私はカラマーゾフの兄弟を読んだことにはならなかったかもしれない!と感じます。
まァ、この解題すらちゃんと理解できたのかは疑問ですが、だいたい読んだかな、8割方は楽しんだかな、という気分になれました。ありがたいことです。
とにかくすごい小説なんですね。というか、ドストエフスキーが壮絶。描かれている人間の感情、観念の幅の広さに圧倒されました。
完結してないことが惜しいです。




