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カスタマーレビュー ![]()
現代の情勢まで論理的説明ができるハイレベル分析
(2007-03-19)
今から見たら少し前の出来事の分析になりますが
感想はすばらしいの一言でした。
彼の論調からは今の経済界の情勢も的確に分析することができます。
2003年、一部の企業はバランスシート問題は解決していましたが
そこから3年。企業のバランスシート問題はさらに解決していました。
そのなかでの小泉前首相と竹中氏の経済政策は「近隣窮乏策」というべき円安政策と
公共投資の削減でした。
橋本元首相のときの行革と違いリストラも終わった企業がかなり回復してきているところに
「近隣窮乏策」の円安政策なので大企業は利益を大きく上げられるでしょう。
ただ、公共投資を減らしたため金利は相変らず超低金利で内需は弱いまま。
それを円安政策で「見せ掛けの好景気」を演出したのではないか。
そんな分析が現状につながります。
伸びる大企業と弱い内需で進まない投資が格差の元凶。
そして今の小泉前首相主導の公共投資存在悪論が支配する中、アメリカの貿易赤字の上で
成り立つ円安政策が通じなくなったら?
そのときに日本はどうなるのか?果たして小泉前首相、竹中タッグの経済は何だったのか?
将来への懸念も抱いてしまう本でした。
マクロ経済の世界で見るべき政治家、行政担当者のみならず全ての国民が将来のため
読んでおくべき一冊だと思います。
示唆。
(2006-01-15)
財政出動は害悪で効果の無かったものだと私は思っていた時期があったのだけど、クー氏の著書「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」を読んで考えを変えた。
初めて読んだ経済学者の本は、私はクー氏の「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」だった。そんな私がこの本を読んで考えを変えるという事は、分かりやすく説得力のある本だったからというのが一つの理由になるかと思う。
今現在は「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」よりも、「デフレとバランスシート不況の経済学」の方を丹念に読んでいる。たいした理由ではないが、なんとなく、「デフレとバランスシート不況の経済学」の方がよくまとまっているんじゃないかという感じがするからだ。
普通一般の人には気づかれていない点を指摘していると思うので、そういう人たちにとっては示唆的な本ではあると思う。
重大な指摘!!!
(2005-05-02)
もっとも重要な指摘を彼はした。不況には2種類ある、という指摘で、
それは循環型不況とバブル崩壊後のBS不況に分けられるということだ。
この2つ不況の違いは企業が金を借りてでも投資したいという
資金需要があるかないかがポイントである。普段の循環型不況は
企業の資金需要がある。しかしBS不況のとき企業に資金需要が
極めて小さい。なぜか?それは企業は借金返済を優先させ、新規投資を
控えるからである。そんな企業が日本全体を占めていく、それがBS
不況であり、マクロ的には設備投資の激減からくる大きな需給ギャップ
が生じていく。
そしてこの認識から導き出される政策は次の通りである。
循環型不況の場合、企業の投資意欲は健在なので金融政策が効果的で、
一方BS不況の場合は財政政策のみが効果的となる。なぜ財政政策なのか?
それは景気悪化にともない市場から家計の手が減りと企業の手が減り、
増やすことができるのは政府の手しか残らなくなるからである。
つまり臨機応変に需要を生み出すことができる政府のみがBS不況を
救済できるのである。
また金融機関では企業からの借金返済金と不況と将来に不安を感じた
家計からの貯金により、たっぷりと金が流れ込み、金利も低金利と
なっている。かつ金融機関は企業が借りてくれないので国債を買い
込んでくれる。つまり政府が「正しく」介入する絶好の機会なのである。
著者は従来のケインズ経済学、つまり不況が来れば財政政策と金融政策を
打てばいいという考えを「不況の種類」と「資金需要の有無」から「使い
分け」を提案したのである。これは極めての重要な指摘であり、世界の
ケインジアンたちに絶大な政策的根拠を与えるものになるであろう。
現代日本経済についての書物
(2005-04-01)
有名ですよね。
僕も盲目的にこの筆者の意見を信じていた時期がありました。
分かりやすく書かれていますから経済について初心者の方でも読めると思います。
ただ僕は部分部分に目を当てすぎて全体としての目線が欠如してる感がどうしても拭いきれません。
個別の問題についての筆者の評価は正しいと思うんです。
でも個別の問題が複合的に絡み合った時にその評価が当てはまるのかといえばそうじゃないと思うんです。
例えばインフレ・ターゲット政策を行えという主張を、これはそもそもインフレの加熱を抑制する手法だからデフレ経済状態では効かないよ。とほとんど門前払いにしてる点など。
確かにそれは当たってるんですが、だから門前払いってのは短絡的な感じがします。
でもとりあえず初心者用に複合的に評価するのは避けたと思えば読む価値はあります。だから星4つです。
目から鱗が落ちる
(2004-10-03)
@金融の実務経験があり、A経済学の素地もきっちりあり、Bアメリカと日本経済に関しての豊富な知識、さらにC日本を中心に企業関係者と多数の接触があるクー氏ならではの本である。全般的に説得力がありかつ的を射た指摘が沢山掲載されているので、何度も目から鱗が落ちた。
上記4つを備えた人はなかなかいない。経済学者はしばしば理論的には正しくても実現可能性の低いことを言うし、B/SやP/Lすら読めない人も沢山いる。また統計だけでものごとを判断しようとして実際の現場の声を聞かない政策立案者も多い。クー氏の最大のアドバンテージは「現実がよくわかっている」ことと、「因果関係を見抜くことが出来る」ことだ。
本中では様々な処方箋が書かれており、いくつかは過激な印象も受けるが、GDPを増やすという意味では正しい。ただここで同意しにくい点がある。つまりクー氏が一貫してGDPという数字をどう増やすか、何で埋め合わせるかを議論していて、GDPにとらわれすぎている点だ。本質はもっと広いはずだ。環境、福祉、幸福感などなど。GDPがこれら全てを正確に反映しているとは思えない。しかしいずれにせよ現在のSNA体系下の各種指標を上向かせるにはクー氏の指摘が大変的を射ているし、目から鱗が落ちたことは間違いない。この本を読めば他の評論家の底の浅さがわかるようになります。




