文藝春秋
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発売日:2006-09
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依って立つ基盤を明確に…
(2007-03-31)
好むと好まざるとにかかわらず、日本の歴史や文化を論ずるのに「天皇」の問題をはずすことはできない。建築学者・建築家である著者が積年の思いを大胆に吐き出した、という感じで、飛躍と断定がつぎつぎに飛び出し、従来なされてきた議論とレベル(スケール?)が異なりまったく噛み合わない。放談の感、なきにしもあらず。
ジャンルを超えて、さまざまな立場から議論が出るのはいいことだ。このところ、建築関係からの歴史論議に、たとえば武澤秀一『法隆寺の謎を解く』など、なかなかみるべきものも出ている。異ジャンルへの発言において、それが傾聴に値する議論になるか否かは、論者自身の専門的研鑚・実績・基盤を踏まえているかにかかっているように思われる。それではじめてユニークな視点といえる。上田氏には『日本人の心と建築の歴史』(鹿島出版会)という著書があり、そこでは建築から日本人論が奔放に展開され、そういう見方もあるかと興味深く思った。しかし今度の天皇論では、著者の専門的基盤つまり建築からの視点がまったく希薄であり、議論に厚みも説得力も見られないのが残念と思う。ぜひ建築学者・建築家としてこの論を補強して頂きたく思う。
意図を明確に言ったら
(2006-12-23)
天皇制について一万年単位で考えたら、という本で古代の天皇制(大王制)におけるヒメとヒコに関する考察は河野信子女史著「女と男の時空「日本女性史再考」ヒメとヒコの時代」に依る所が大きい。その後、連綿と続いた女系(天皇自身は男性)が明治維新で壊れたという展開だがピンと来ない。
こういう時期にこういう本を出したのだから著者の意図はハッキリしている。秋篠宮家に男子が産まれて、後継をどうするかと言う点を論議したかったのだと思う。本全体が前フリで、実はその後に言いたかった事があるのだ。本の流れからすれば後継は愛子様が良いという事だろう。そこをハッキリ言って欲しかった。
是非、続編を書いて現実の論議をして欲しい。
こういう意見があっても良いのではないでしょうか。
(2006-10-02)
とかく日本では天皇制の中から天皇制を書くタブーもあってか、偏った見地の本が多いなかで、こういう見方の本が存在するのはホッとします。やはり中にいると、偏っていることにさえ気づかなくなってしまうのでしょうか?天皇制について、冷静に考え直そうと思ったら、とりあえず読んでみていいと思います。もちろん宗教として洗脳されている信者の方は、読まないでそのまま信じているのでかまわないのですが、、、
少々説得力にかけているのでは
(2006-09-24)
天皇という概念は、神武以来、たかだか2600有余年(実証的には約2000年か)の歴史で考えるのでなく、縄文・弥生以来1万年の日本文化をも踏まえて理解すべきというのが趣旨のようである。
縄文・弥生時代の自然のなかで男と女がどのように生きてその中で文化や社会・国家のシステムが形成されてきたかが語られる。天皇制度の祖形は高群逸枝の提起したヒメ・ヒコ制であり、その根拠として12世紀頃まで縄文時代が続いたという沖縄の古い歌謡が取上げられる。しかし、レビュアーの不勉強のせいか、今ひとつ、説得力がないように感じられる。
日本文化は140年前の明治維新に決定的問題があり、この時に日本をおかしくしてしまったと言う。そして日本文化としての天皇は「女系原理の巫女制」「男系原理のヒメ・ヒコ制」「男系原理の天皇制」についで「双方原理の天皇制」という第4の局面に入ったのではないかとする。ここでいう「双方原理」とは男女を問わず天皇の長子が皇位を継承することである。著者はアマテラスの子(オシホミミ)から神武天皇までも男系で皇位が継承されてきたことを実証しているにもかかわらず、この現代になって、第4の局面に入ったというには、根拠が不十分である。
日本文化を理解するのに縄文時代に遡るのはよい。しかし、天皇について考察するのは稲作文化が入ってきてからでよいのではないだろうか。
本書を読んでいて気になったのは、「天皇制」という言葉が安易に使われていること、天智以前の天皇をすべて「大王(オオキミ)」としている点である。それから、著者の「和語は漢字にしない」というポリシーがあるのか、かな表記が多く、かえって文章を読みにくくしている点である。




