文藝春秋
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発売日:2001-01
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カスタマーレビュー ![]()
それにしても「虚妄」ってすんごい語気ですな・・・。
(2002-12-20)
この「虚妄」という言葉は,中谷巌『eエコノミーの衝撃』(review japan,BCKTs folderの書評参照)の(「隕石」級の)「衝撃」と対極に位置する。森谷は電網技術の革新とその社会化は,「産業革命」にも匹敵しないオートメーション革新に比較さるべきだとも言っている。根拠は,対個人(「B to C」)については,社会的な電脳活用能力には限界があり(対応能力のない年齢層の存在,個人を守る法的整備の遅れ,情報過多のマイナス面),対企業(「B to B」)については,合理化の原理内のもの(職場以外での労働強化)だとすることによる。日常生活に必要なものは財布から身銭をきって買う慣習が消えるとは思えないし(生鮮食料品から家電まで),企業間電子商取引がいくら盛んになっても最終的には出張して生身の人間を相手にする以外に商談は成立しないだろうというわけ。これをひとつひとつ丹念に消し潰していって,IT革命は「虚妄」と結論している。
事実や特徴を列挙したうえでの論証は手堅く,これが(東大工学部卒で天下の日立造船に勤めた)技術者の結論することか?と,文系最底辺にいる私などは興味深い。ただし,個人が電脳発注した商品を配達するのに,配送トラックのガソリン消費や排気ガスまで気にしているのは(77〜8頁),間違いではないにせよ、ちょっと神経質に過ぎるような気もする(しばらくすれば,電動自動車(トラック)に替わりますよ)。
中谷などIT革命肯定論者の著作に取り上げられている企業は,論者は違ってもすべて同じだとしてばっさりと切り捨てているのは,首肯できる(review japan,書評『リエンジニアリング革命』参照)。アマゾンやらデルの成功を連呼して,淘汰されていった企業(アタリ,オズボーン,フォーチュン・システムなど)には目もくれていないという態度は,社会科学者として以前に,曲学阿世の好個の例だろう。
森谷にとって手強いのは,篠崎『情報革命の構図』(同上書評参照)だと思う。篠崎が数値やら図表やらを駆使して主張を裏づけようとしているのに対し,森谷は論証に終始し,統計的手続きを踏んでいない。新書だから手を抜いたのかな?
冷静なIT革命への批判の書
(2001-05-07)
大量のIT革命賛美の本、これからはB-to-CではなくB-to-Bだという本に続いて、冷ややかにIT革命を見る本が増えてきた。この本もそうした中の1冊。こうした本が2年前に出ていれば先見の明とも言えたのかもしれないが、やや時機を失した感あり。もっともその頃なら無視されたかもしれないが。
ただ、そうした本にありがちなやみくもなITへの批判ではなく、冷静な分析が本書の特長。ニューエコノミー論への批判もなるほどと腑に落ちる。118頁以降の「eビジネスは本当に必要なのか」で、SCM、CRM、ナレッジマネジメントについての指摘も、簡単だが的確。 IT革命賛美に酔った後の酔い覚ましに丁度良い。




