中央公論新社
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価格:¥ 1,029
発売日:2004-08
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八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544)
カスタマーレビュー ![]()
「軍国主義」と「言論統制」
(2008-11-04)
「戦後民主主義」の常識では、戦前の新聞社や出版社は「軍部」に抵抗したにもかかわらず、「言論統制」により「仕方無く」、「軍部」に協力したことになっています。
なにより、戦後になり新聞社や出版社が、そう主張しています。
この本は「言論統制・情報官」鈴木庫三の「生涯」を描くことにより、「言論統制」の「真の姿」と新聞社や出版社の主張が、いかに辻褄があわないかを明らかにした本です。
この本を読めば、「特権」とは、「平等」とは、「軍国主義」とは何か、「戦争」で、そして「敗戦」で利益を得たのは誰かなど、いろいろ考えさせられると思います。
教育と戦争
(2008-07-16)
軍隊教育の専門家のことを教育将校と呼ぶらしい。情報戦を制するための情報将校こそが現代戦争の本質だと思っていたが、教育も重要なパーツであると再認識させられた。
立身出世と思想形成
(2008-03-02)
戦時言論統制を統率した情報官・鈴木庫三少佐は、死の床に至るまで、自己の行動の正義を確信していた。そうした鈴木の思想の形成過程を丹念に辿ったのが本書である。ある人が自由と民主主義を憎み、国家社会主義に共鳴するに至るのはどのような事情によってか、私は本書を読んで初めて理解できた気がする。戦時下の文化人達が鈴木の「一喝」の前に「縮み上る」ほかなかったのは、もちろん陸軍の権勢によるところも大きいだろうが、同時に彼らが鈴木ほどの強固な信念を持たなかったからではないか。「思想戦」の帰趨を決するのは、最後は体験に裏付けられた信念の強度なのかもしれない。新書にしてはかなりの大部だが、一気に読了した。
歴史の多面性を感じさせる好著
(2007-12-17)
多くの方がレビューで書いているとおり、鈴木庫三という人物とその時代を見直す好著です。「被害者」マスメディアの問題点等、既に多くの方が指摘していますので、その他の点で現在に通じる点をいくつか。こうした点を意識されながら読むとさらに興味深いと思います。
・ 彼は決して陸軍内で主流ではなかった。今で言う「ノンキャリア」の悲哀のようなものがあり、「走狗は煮られる」という故事に近いものを感じる。だから戦後彼を誰も弁護しなかった
・ 逆に主流派でもなく、一少佐でこれだけ「有名」になれるほど陸軍の意思決定は中堅が強かった証左でもある(「下克上」とも言える)。換言すれば「陸軍」の意思とは一体どのようなものなのか。責任の所在が不明確なのは現在も変わらない
・ 彼は都会的生活、価値観に対する挑戦者であった。当然、都会的インテリには「生理的」に嫌われるし、都会に住む私も彼に対抗する側に立ってしまうが、今の「格差是正」と叫ぶ人に鈴木少佐の問題意識はダブるものがある
・ 彼の理想とした教育平等は戦中・戦後達成された。このように彼の抱いていた理想は今の目から見れば耐え難い「管理社会」だが、その(正負両方の)遺産を現在の我々も享受(又は負担)している現実に気付かされる
・ 上記に関連し、彼の思想は「誤り」だと安易に断定することがいかに浅慮であるかを思い知らされる。彼の問題意識にはどのような回答が「正解」なのか即答できない
・ 結局、「あの時代」は何を目指していたのだろうか。単なる侵略の時代、サディスティックな抑圧者の時代と片付けることは簡単だが・・・
表題が「鈴木庫三伝」ならば圧倒的に素晴らしい。
(2007-11-11)
★にすれば5つ以上です。感動的です。・・・・・しかし、「言論統制」という表題を著者が選ぶとき、そこには大きな問題が孕まれているように思いました。・・・・・鈴木庫三が苦学生であったこと、柔軟な思考の持ち主であったこと、帝大などにおいて倫理学、哲学などを極めていたこと等々は良くわかりました。そして彼が自分の半生と農村の貧困とを重ね合わせつつ、富裕層の腐敗堕落を主たる批判対象としていたことも理解できました。しかし、鈴木庫三がどういう人であったのか、ということと、彼が荷担した言論統制がどのようなものであったのかということとは、基本的に別のこととして理解すべきでしょう。その視点が曖昧になっているために、鈴木庫三の真実を明らかにすることで、言論統制を肯定しているかのような印象を与えかねません。・・・・・ただし、鈴木庫三が荷担した体制は基本的に悪なのだ、という前提をしっかりと持ちながら読むならば、画期的な歴史研究であることは確かです。著者には日記の発見など、一連の庫三熱が冷めた段階で、もう一度この時代の言論統制の全体像について描いて貰いたいと思いました。




