中央公論新社
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刑罰とは何ぞや
(2003-05-04)
かつて賤民としてさげすまれ、徹底的に差別されていた刑吏。他の身分のものと結婚はもちろん、酒場での同席さえ「穢れる」とされた彼らが、なぜそんな境遇に落ち込まねばならなかったのか、それにはどんな意味があったのかを考えて行くという内容です。ドイツ史の専門家である著者は、古代ゲルマニアの刑罰観から説き起こして、中世、近世と徐々に、呪術的なものから合理的なものへ、変容していく刑罰に対する形で、刑の執行者が神聖で名誉ある存在から、忌み嫌われるものになるまでを、数々の学者の説を紹介しながら追っています。
その中で著者は、初期の刑罰は、犯罪によって傷ついた社会秩序を回復するためのもので、個人の行為を罰するものではなかった。社会の中で起こった行為に、全責任を個!人に帰して済ませる、近世の刑罰は不自然な部分があると指摘しています。この見方はとても考えさせられました。犯罪を犯したものは、その行為によって罰せられるという現代の常識が、当たり前の事ではなかった世界があったことを知ることは、少年犯罪や凶悪犯罪の増加で、罰するということについて悩むことの多い今、十分意味がある事だと思います。
しかし、内容はともかく、本としてはとても読みにくいものがあります。ヨーロッパ史千年を、たった数ページで行ったり来たりすることもあり、一行一行しっかり読まないと、わけが分からなくなってしまうので、さらっと読もうというのには、不向きだと感じました。




