新潮社
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発売日:2002-09-01
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カスタマーレビュー ![]()
門外漢にも
(2008-03-08)
特に知識がなくても気軽に読める。シリーズをつい読み込んでしまう。
報復合戦の果て・・・
(2008-01-20)
マリウスとスッラによる報復の応酬がもたらしたものはスッラの独裁だった。共和制に強力な独裁者が生まれれば、それは王制に至る危険を孕む。しかし、筋金入りの保守派のスッラは、独裁官としての権限を元老院を中心とするローマの秩序再建のためだけに行使してさっさと引退してしまう。
スッラの再建したローマの秩序は、スッラの死を境にして崩れていった。スッラ体制を崩壊させたのは、スッラの下で力を付けた武将たちだった。
マリウスとスッラの対立は、優秀な才能を持った人を数多く地上から粛清し、ローマの組織力を弱める結果を招いたと思う。スッラがいかに頑健な組織を作っても、組織を構成する人にそれを支える能力がなければ組織の形はゆがめられていく。2人の名将が繰り広げた報復合戦の代償は、共和制にとって決して小さくなかった。
血で血を洗う権力闘争、そして地中海平定
(2007-10-11)
紀元前1世紀前半。スペインやオリエントへの遠征が相次ぐなか、マリウスとスッラとの間で血で血を洗う抗争が激化します。お互いに一族一派を粛清(虐殺)しあった結果、元老院階級の3分の1近くが欠員となってしまうという愚かしい状況。建国して数百年にわたりその勢力を伸ばし共和政のもとで民主主義を発展させてきた成熟した国家のイメージはそこにはみられません。
ただ、最終的に抗争を制し独裁者となったスッラは、自身の政治理念に基づいた改革を断行した後には、自らその強大な権力を手放します。いつの時代にも国難を救うバランス感覚あふれる施政者が現れるところはローマの底力なのでしょう。
ちなみに、本巻を通じて登場する(ローマからみたら)敵役のポントスの王ミトリダテスとの長年にわたる攻防もみどころのひとつ。ミトリダテスも結果的にはスッラのあとを受けたポンペイウスに平定されるのですが、本書の最後に引用されている平定される側(ミトリダテス)と平定する側(ローマ)のそれぞれの言い分が印象的でした。ローマ視点でみれば「平定」でも、される側にとってはそれは侵略でしかない、というのは、後世の戦争にも通じること。
「敵国=悪」とは言い切れない、という歴史をみるバランスを教えてくれているような気がします。
カエサルへの序章
(2007-08-14)
前作に続いて内乱、東方地域の反乱などに満ちた内容。
スッラ、ポンペイウス、そしてカエサルという稀有の才能がどのようにローマの中で生育いていくのかが読んでいて面白い。
民衆派を虐殺していったスッラが取り巻きに処罰者名簿から若いカエサルを取り消すよう懇願されて「君達にはあの若者に百人ものマリウスが宿っていることがわからんのかね」とつぶやいたというのはあまりにも面白い。天才のみが天才を見抜いていたのだ。
カエサル前夜
(2007-08-14)
「勝者の混迷」の上巻は カルタゴを滅ぼしたローマが ローマ内部の混乱を引き起こす様を塩野が描いた。
ローマが混乱すると 他国がローマに反乱を起こし その鎮圧のために またもやローマの中から英雄が生まれ出されるという経緯を辿ることになる点を下巻は描き出す。
この巻では塩野が スッラと ポンペイウスを高く評価している点が良くわかる。特に 後者のポンペイウスが この後 カエサルの引き立て役に廻ってしまうこともあってか とりあえず 本巻では愛情を込めて書いている様が目に浮かぶ。
塩野にとって 「ローマ人の物語」を書く大きな動機の一つに カエサルへの「片思い」があるというのが 僕の5年来の持論である。その恋人の登場前夜をじっくり描き出すことで カエサルがカエサルで有り得た 時代設定をきちんと行っている。それが本書の大きなテーマではないか。




