新潮社
グループ:Book
ランキング:850102
価格:¥ 336
発売日:2000
只今品切れ中
このページのURLは
http://clubks.com/baby/asin/Books/410112406X/
カスタマーレビュー ![]()
思想作家最後の著作集
(2006-10-01)
思想作家高橋和己最後の著作集となる。最晩年に「波」に発表された社会的評論・随筆8編が収められ、作家生活の思想地盤が集約されている。ここでは「国家について」と題する最後の部分を紹介するに留める。
「闇屋は個人の買出人が女子供である場合など、消極的にではあるけれども、それをかばった。私自身、幾度かリュックサックを背負って、大阪と四国の田舎との間を往復したことがあって、その模様はつぶさに知っている…にもかかわらず、駅に着けば、物蔭に隠れていた警官たちが、どっと襲いかかり、荷物をあけさせ、二升以上の米穀とみれば、無慈悲に奪い去った…いま私は、複雑な感情で以て、その当時のことを思い起すのだが、一見些細に見えるこうした体験には、実は重大な意味がはらまれていたのだと思いあたる」
これで絶筆となる。死の床に幻影として疎開体験が甦っている。民衆・庶民の立場に立っての優しい眼差しである。そこには(些細な体験の重大な意味)を感じ取る鋭敏な作家精神が伺える。
本編を書いた3ヵ月後、昭和46年5月3日東京女子医大で39歳の生涯を閉じた。5月9日、青山葬儀場で葬儀告別式(葬儀委員長埴谷雄高)。学生を中心に5000人の参列者があった。




