集英社
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カスタマーレビュー ![]()
山を登る人も登らない人も。
(2007-03-27)
山に登る人も登らない人もこの本には感じ入るところがあると思います。
足がダメなら手で、手がダメになったら歯で、それでも、それでもダメになったら...想え。
そういう想いこそ本当の『祈る』ということだと身震いした記憶があります。
羽生丈二と長谷には明確なモデルがいます。二人とも実在し山に命を散らしたクライマーです。
長谷が長谷川恒男そして羽生が森田勝。特に羽生の人物像、軌跡は森田勝そのものです。
森田勝と言う人をリアルタイムでは知らないのですが日本の登山史において伝説的な人物です。
読んでるうちに羽生は自分の中で森田勝になってました。リアルタイムで知らないはずの森田さんがしゃべり、
森田さんが山に登り、また森田さんが山に何を賭けていたか。それをこの小説は語ってくれた気がします。
羽生と言う人間は破天荒で現代にはありえない人物に思えるかもしれません。しかしこと山屋ということになれば、こういう人物が本当に実在しえ、現在も岩と氷に取り付いている人間がいるのは本当です。実際には森田勝さんは作中にも出てくるグランドジョラス、長谷川恒男さんは風の谷のナウシカのモデルになったと噂されるフンザに程近いウルタルで命を散らしてしまいます。長谷川恒男さんは生前現地の人の為に何かしたいと言っていたらしく、フンザには彼の遺志を継いだ『ハセガワメモリアルスクール』があります。
この小説を気に入った方はぜひ森田さんの伝記『狼は帰らず』、長谷川恒男さんの伝記『虚空の登攀者』も読んでみて下さい。
素晴らしい小説である(谷口ジローのファンより)
(2006-04-30)
私は谷口ジローのマンガのファンなので、この小説の存在を知ったのは彼のマンガである。(谷口ジローは、著者の「餓狼伝」をマンガ化した作家である。著者は彼のことをプロボクサー・アマレスラー・プロレスラーの肉体の違いを明確に描き分ける作家と絶賛している)だから、読む前からストーリーは知っていた。しかし、この作品はそれでも面白い。ストーリーがわかっていても、読む者(自分)をその世界に引きずり込んでしまう文章力、短い文章が延々と続く心理描写、極限に生きる男の圧倒的な迫力が迫ってくる。
山を舞台とした作品なので、絵で表現できる(それを表現する実力のある谷口ジローの)マンガの方がいい作品なのかと思っていた。確かにエベレストをはじめとする山々、それを登る羽生や深町の描写は一目でわかるマンガの方がいい。しかし、登場人物の心の揺れを細かく表現する描写は、やはり文章を武器とする(優れた)小説の世界のものであり、マンガの敵わない部分である。
マンガも小説も読んだ私の結論は、どちらかだけを読むだけではもったいないということである。マンガしか読んでいない人は小説を、小説しか読んでいない人はマンガを是非読んで欲しい。両方読むことで両方の作品の世界が広がるに違いない。
著者があとがきで、自画自賛ともいえる文章を書いてしまったのもわかるような気がする、本当に素晴らしい作品である。
いただき・・・
(2005-11-19)
山に登るのは何故か?
何故、生きるのか?
何故?なぜ?ナゼ?
そんなことはどうでもいい
「俺がいるから・・・」、それで充分だ
人生論・書評なんか不要
ただ読めばいい
そして・・・
想え
久々に
(2005-11-15)
日本文学にしては久々にまっとうな作品かと思います。最近のくだらない、マンガをそっくりそのまま文章に起こしたような文学のアイデンティティのかけらもない小説どもと違い、下巻最後の方の羽生の手記や、酸素が薄く意識が朦朧とする様の描写などは、文学の匂いがしてきます。ただ、シーシュポスの神話の解釈などは残念なものになっていたりしますし、最後のほうは地の文の主語すらおれになっていたりして、多分、獏に何かがのりうつったかのようにひたすら勢いだけで書いていった感じがしてこっちも読むテンションがあがってきたりします。どうお読みになったとしてもとにかく作家が本気で書いたらこんな風になるんだというのは最低でも感じ取れるのではないでしょうか。
この小説自体は星5つあげたいのですが、あとがきがよろしくない。あれを読むとせっかくの感動が覚めてしまうので、もしお読みになるなら小説自体を読み終えてからお読みになってください。
☆☆☆☆☆
(2005-06-15)
これほど絶対的な圧倒感で満たされる本には久しぶりに出会いました。
高度7000メートルを越える世界で繰り広げられるむきだしの人間ドラマ。
激しく吹きすさぶ風の音が聞こえてくるようです。
羽生という男の生き様には安易な感想を述べるのが憚られるほどです。
こういう素晴らしい本に出会ってしまうと、次に読む本探しに苦労するんですよね。何を読んでもこの感激を乗り越えられず「ああ、こんなんじゃない・・」って思うのがわかっているので。
それでもまたこの本を凌駕する体験を求めて本探しの旅は続いちゃうのですが。しばらくこの本をしのぐものには出会えないだろうなあ・・。




