集英社
グループ:Book
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価格:¥ 693
発売日:2004-11
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カスタマーレビュー ![]()
中沢の「知」のルーツに迫る快著
(2007-02-02)
私にとって、中沢著作は、広い学識をうかがわせ、テーマ性、メッセージ性ともに共感しながらも、時にその独特な論理の展開についていけない場面が多かった。しかし、この本は、異様なテンションながらも、非常に明晰かつ彼の「知」のルーツを知る上でのエッセンスに詰まっている。網野善彦との交流の中で、彼の思索のコアが形成されていく様子が感じられて、いままでのかれの著作の流れのようなものを見通すことができたといっても過言ではない。特に、皇国史観や天皇制に関する網野とのやり取りは、非常に示唆深く、権力社会と精神世界との緊張関係のようなものが見事に考察されている。網野史学の背景を知る上でも、「切れば血が出るような」鮮度をもって、より具体的に映像が迫ってくる感じだ。
心なしか、この本を書きあげた後の中沢の著作は、原点回帰したのか、シンプルかつクリアな筆致で、どれもメッセージ性が高く、今までの著作から一つステージを上がった感じがする。
網野と中沢の大きな知的水脈が重なりあって、大きな流れとなりつつあるのかもしれない。今後の彼の著作に期待したい。
網野善彦理解にも歴史学理解にも
(2006-12-31)
近くにいたからこそ書けた網野善彦のエピソードが豊富です。
おっちょこちょいな面や、研究に対する凄まじい真摯な態度などに心打たれます。
著者の宗教理解に影響を与えたことも十分理解できる。何より中沢氏の父親に関することも興味深い。
無論親類であるからこそ見えないものもあるのでしょうが、その点は豊富な実体験がカバーしていると考えてよいでしょう。
一気に読めて且つ深い。
歴史学に携わる人すべてにオススメ。
素晴らしい人間的繋がり、羨ましい家系
(2006-12-06)
いや〜凄い家系です。中沢さんから見て、お爺さんは生物学者、お父さんは民俗学者で元共産党員、その父の弟は製鉄技術史の研究者、そして妹(叔母さん)に当たる方が歴史学者の網野さんと結婚。
中沢さんが幼少の頃から家庭内では政治や宗教に関する議論が普通に行われ、そこに網野さんも加わって歴史理解の話の花が咲いたそうだ。
後に網野史学と呼ばれる孤高にして綿密な歴史学が展開されていく。叔父さんとしての網野さんとの対話、議論の中で中沢氏の宗教への興味も増していったようだ。まさに網野さんは中沢新一さんの戦友でもあるのであろう。
読み応えあり
(2006-10-28)
もともと追悼文として書かれたということで、薄手の作品ですが、読み応えは十分です。
なかでも生前の網野氏と著者、さらには周囲の親族との対話がふんだんに盛り込まれており(かなりフィクショナルと感じる部分もありますが)、一流とされる知識人同士の生身の交流がどのようなものであったか、その刺激的な雰囲気にふれることができただけでこの本を手に取った価値がありました。
また、ここに紹介されているのは網野氏の生涯の業績のいくつかの断片にすぎませんが、その歴史学への足がかりとしては好著だと思います。
持続した魂の交歓
(2006-02-28)
この本を読むまでは網野さんと中沢さんと、「学者セレブ」の世界の人かと思っていたが、さにあらず。中沢さんの四代前のご先祖さんは山梨で生糸の生産と藍染めを生業とする人で、山梨では山の民の流れを汲む異界の人の末裔として見られ名士だった。中沢さんのお父さんはマルキスト。で、このお父さんが参加していた常民文化研究所の集まりに網野さんが来ていて、その関係でお父さんの妹さん(中沢新一の叔母さん)と網野さんが結婚した。こういう関係は決して「学者セレブ」とは言えないだろう。
そして、網野さんも中沢さんもそのお父さんも「トランセンデンタル(Transcendental)」=「人間の心の中にある、現実の世界での五感からの影響や経験の及ぼす働きから完全に自由な領域があり、この自由な領域こそが人間の本質を作っているのだという思考法」に憑かれた。トランセンデンタルな人々が山の民や海の民であり、トランセンデンタルな場所が無縁・公界・楽であり、中沢新一は人の心の中にあるトランセンデンタルな領域を実体験する為に自らチベットに行ったのだろう。このように全てが有機的に繋がり合うのだ。何と真摯で美しい人間の繋がりだろうか。
中沢新一が5歳の時から始まった網野さんとの魂の交歓。中沢さんが長じても網野さんは「叔父ちゃん」であり続けた。が、90年代前半の頃だったのだろうか、二人がそれぞれ多忙になり通じ合えなくなったそのころから網野さんは病魔に苛まれ始めていたという。
しかし、この愛情と尊敬に満ちたこの本により二人の魂の交歓と学問への情熱、ひいては人間という謎への探訪は永遠になった。




