講談社
グループ:Book
ランキング:50433
価格:¥ 1,029
発売日:1998-12
通常24時間以内に発送
このページのURLは
http://clubks.com/baby/asin/Books/4062572389/
この商品を買った人はこんな商品も買っています。
カスタマーレビュー ![]()
やみくもに怖がる前に
(2008-07-06)
「放射線は恐ろしい」というイメージは強いのですが、その一方で、ラジウム温泉など健康増進を謳って利用されていることも事実です。
放射線を浴びた(被曝した)際の健康への影響については2つの説があります。
1つは「放射線の強弱に関わらず、放射線を浴びるほど健康への悪影響が懸念される」という考えで、どんなに弱い放射線でも被曝を避けることが推奨されます。
もう1つは「弱い放射線は健康への影響がない」という考えで、「この程度以下であれば問題がない放射線の強さ」つまり「低量放射線量のしきい値」が存在するという立場です。
いずれが正しいのか、専門家の間でも意見が分かれているのが現状の様です。
さて、本書は副題の「少しの放射線は心配無用」が示す通り、「弱い放射線は健康への影響がない」という立場を強く主張しています。著者は広島原爆投下後に現地の被爆調査を行い、現在も放射線研究を続ける叩き上げの研究者です。
先に書いたとおり判断が難しい2つの立場ですが、本書では広島原爆やチェルノブイリ原発事故に関する調査、自然界の放射線と病気に関する調査などの疫学的調査結果や、被曝した細胞のDNA修復・自滅メカニズムの研究などの生化学的研究成果を織り交ぜ、被曝量にしきい値が存在することを科学的に立証しようとしています。
残念ながら、著者は低量被曝量のしきい値の存在を確信するあまり、調査結果の解釈に偏りが感じられる箇所があります。たとえば「このデータからは被曝量と発症数に関連が見られるが、被曝が原因ではなく、Aという別要因が原因だ」と主張する際、被曝が原因とは言えない根拠となるデータは多く示すけれども、反面、Aを推す根拠となるデータは示さない場合があります。このことは、あまりに著者の信念が強い為に、多くのデータが客観性を逸脱して解釈されているのではないか、という疑いを感じさせる結果となっており、「この本の内容は信用ならない」と評価する方もいらっしゃいます。
私は本書の内容を信用しています。
著者が主張の根拠として示すデータは膨大かつ専門的で、一般読者向けとは思えないほどですが、私はそこに著者の不器用さや誠実さ、熱意を感じます。また、本来無害な強さの放射線に怯えて暮らす人々を悲しむ著者の眼差しに優しさがあります。
そうは言っても、科学的判断の妥当性と著者の人物評価は別物ですから、本書以外の放射線関連情報も調査しました。その結果、決着は付いてはいないものの、これまでの放射線防御の観点から適切なリスク評価の観点への移行に伴い、放射線しきい値の扱い方がクローズアップされてきているようであったため、私は本書に信憑性を感じています。
決して読みやすい本ではありませんが、放射線と健康との関係を考える上で重要な一冊だと思います。
放射線を正しく怖がろう!
(2006-11-24)
放射線と聞いただけで震え上がってしまうのは、どうやら日本人だけではないようです。
この本のオススメポイントは、なんと言っても図表です。
放射線という目に見えない恐怖を説明するために、実に豊富な図表が掲載されています。図表の数は見開き1ページ毎に1つ以上。本文に対応した、情報密度の高いものばかりです。
専門用語が数多く登場しますが、抜け目なく丁寧な説明が成されていますので、初心者でも安心して読むことが出来ると思います。
パニックや過剰な不安を避けるために貴重な本。
(2004-04-17)
不確実な仮説を基にして、過剰に放射線の危険性が強調されすぎているているとしたら不幸なことである。論旨は、しっかりしており、信頼できる印象を持った。過大な評価は時として有害である。現在までにわかっていることと、わかっていないことが区別できるように書かれてあり、参考文献も掲載されている。良書であると思う。ただ、著者の主張する安全な少量被爆量が、がんの発症リスクや胎児への影響など、事例ごとに異なるので、「何に対して、どの程度の安全性は期待できるか」を意識しながら読まないと、混乱する。
意識していれば参考になりそうな数値としては、自然放射線被爆量は年間0.1レム(α線で0.05ラド、X線で0.1ラド)程度、CTは1回の検査で皮膚で1ラド(1レム)程度の被爆、チェルノブイリの旧ソ連の専門家が安全と判断した生涯被爆量は35レム以下(α線で1.75ラド、X線で35ラド)、脳腫瘍の放射線治療に使われる線量は例えば、1回200ラドを25回など。現在の標準単位の1グレイは100ラドである。
少なくても、35レム以下(妊娠中では1レム以下)の場合には、不安や恐怖、またはそれに起因するストレス反応やストレス対処としての飲酒や喫煙の害のほうが明らかに大きいように考える。わからないことが多い中で、何をどの程度、安全と考えるのか、根拠は何なのかを記載しており、貴重な意見だと考える。
データの信頼性に疑問
(2002-05-11)
「放射線に閾値が無い」ということを実証する材料として
チェルノブイリ原発事故が例として挙げられているが、
甲状腺がんが増加傾向にあることは触れられていない。
筆者の個人的主観で書かれた感がする。
放射線を怖がりすぎるな
(2001-08-09)
放射線の人体に対する影響を、日本人とくに原爆の惨状を目の当たりにした筆者が一般向けに解説した啓蒙書的一冊。改定を重ねて最新の研究内容も取り入れられた本書は、実際のページ数以上に内容が濃く、放射線に対する認識を新たにさせられること必至である。




