講談社
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The Astonishing Hypothesis: The Scientific Search for the Soul
カスタマーレビュー ![]()
心のありか
(2006-12-26)
フランシス・クリックはDNAの二重螺旋構造の発見者であり、
ノーベル賞受賞科学者であるということは、広く膾炙されている通り。
DNAの発見により、人間が高度にプログラムされた存在であることを発見したクリックが、
”では人間の意識(心)とは、存在とは何なのか”
というテーマに迫る動機を持ったことは想像に難くない。
本書でクリックは意識は全て脳のニューロンの働きで説明できると仮説し、
主に視覚システムをアプローチとして意識構築の深淵に迫る。
タイトルから判断するとドーキンスの「利己的な遺伝子」的内容のように思ってしまうが、
原題は”The Astonishing Hypothesis, The Scientific Search for the Soul”であり、
「DNAに魂はあるか」の邦題は故意か過失か、いずれにせよ誤訳と言っていい。
邦題はさておき、内容的にはノーベル賞学者渾身の作だけあって非常に興味深く、示唆に富んでいる。
かつ我々一般人でも十分理解できるよう簡易に書き下しており、
それがかなりのレベルで成功している点特筆される。
”心のありか”
に興味を持たれた方には、ぜひ読んでいただきたい一冊である。
やはり生命ってすごい
(2005-08-08)
作者に関して知っているのは、高校で習ったワトソン・クリックの二重螺旋のあのクリックさんだということだけ。センセーショナルなタイトルに惹かれ買いました。専門外の内容なので、知的好奇心を満たしてくれる読み物の一つとして評価した場合、SF好き日本人無神論者には「驚異の仮説」というにはちょっと弱いかなという感じ。逆に読んでいくうちに細胞(ニューロン)の不思議さ・すごさを感じてしまいました。
ニューロンの活動がなければ、「私」が存在しないのはわかる。似たような条件が整えば、私と似たような意識が生まれることも想像できる。でもなぜ、この時代のこの場所のこの身体の中に「私」が存在するのか考えると不思議。
そう考えるとやはり野心的なテーマであることは間違いない。
現在では受け入れやすい内容だと思います
(2005-06-25)
クリックといえば、DNAの二重らせん構造で有名であるし、生物学の勉強をしているとむしろ分子生物学を庭としている感じがあるが、実は二重構造の発見以来、クリックは明らかな脳神経科学者としての活動に専念している。したがって、単なる他分野の大御所がジャンルを移籍して移ってきただけだろう、という認識は誤りであるし、第一線の脳研究者といって差し支えない。
そんな著者は主に視覚系の研究で有名であるが、世界の脳神経科学者に向けて、「意識」の研究に取り掛かる時期が来た、という公式な宣言をしたことで有名である。それまで意識というものを科学的研究対象にすえることがタブー視されていた時代にこういった宣言を行ったことは非常に意義があるし、それだけに本著も、現在では溢れるほど多様な仮説が提出されている、意識活動がどのように生み出されているのかという考察のパイオニア的存在になっている。
邦題からだと、意識・心というものがDNAレベルで発現が制御されているという印象を受けてしまうが、クリックの真意はそうではない。逆に、魂などの別の存在を仮定することはない、意識とはニューロンという物質から生み出されてくるものである、という一元論を強く押すものとなっている。邦題は逆説的に皮肉ったものである。
今でこそ、ニューロンの活動が意識・心の実体であり、それ以外の存在を仮定する必要はない、という考え方は常識化されてしまった感があるため、内容としてさほど「驚くべき仮説」ではないのだが、本書で重要なことは、クリックが、意識研究のアプローチとして視覚系を研究すべし、と主張したことにある。視覚系の研究そのものが意識の解明に直結するわけではないのだが、還元論的な考察をするに当たり、視覚系がもっとも取り組みやすいであろう、というクリックの指摘は的を得ていると思われる。
意識・心の問題について述べられた書籍には必ずといっていいほど引用されている文献だけに、述べられていることは意義深いものが多い。また、一般書なので読みやすいため、多くの方にお勧めである。
クリックの目論見
(2004-12-15)
「DNAに魂はあるか」という題名からして刺激的なテーマであろう。
遺伝の研究は19世紀のメンデル辺りから始まったが、本格的な発展が齎されたのは核酸の研究を通じて、1953年にワトソンとクリックがDNAの二重らせん塩基構造を発見してからである。いま、分子遺伝学は、爆発的な勢いで発展しつつあり、21世紀は人間が生命の果てしない歴史を再体験する時代となろう。
クリックは、遺伝子工学を既に捨てた、クリックにとってフロンテアこそが、真のロマンと冒険なのであろう。ついに彼が目指したのは、魂の探求なのである。魂といっても超心理学を目指した訳ではない。彼に取り基盤はやはりDNAなのだろう。DNAは如何にして出来たのか?如何なる原理で形成されたのか?クリックが探求したいのは、たましいの別な表現である「意識」の事なのだ。であるから、DNAに意識というプログラムは存在しているか?と謂う事なのであろう。生命の遠い過去がDNAのは詰まっている、その中で脳という器官を進化は目指し、意識を作り出す器官を遺伝子は作り出してきた。
ここでクリックが提案している事が真理であるかどうかは分らないが、その意味を考察してみる事は極めて面白いものです。
徹底物理主義者の抱く脳
(2004-12-10)
2004年に亡くなられ分子生物学者&脳科学者クリックさんの著作。
DNAという20世紀最大の発見をしたクリックが脳科学へ転向し一貫して追い求めたものは"意識の科学的理解"。その中でも、クリックが最も手が届きそうな研究ネタと考えたのが"視覚的注意"の問題。
この本は視覚を中心として、実際分かっていることと幾つかの推測が書かれています。
海とも山とも分からない、意識の問題…それに果敢にチャレンジしようとする老科学者クリックの熱い気持ちが伝わってきて、脳研究への関心が高まります。




