岩波書店
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カスタマーレビュー ![]()
著作自体は優れているが、翻訳が不適切
(2008-06-04)
すでに指摘されているように、翻訳が悪い。接続法や指示代名詞など、文章理解の上で直訳する必要のない部分をあえて直訳している一方、直訳で十分に意味が取れるところをなぜか意訳し、かえって日本語として意味が取りづらい点が多い。ゼミで用いたが、学生が気の毒であった。
また、専門家・研究者向けでもない。principato, stato、fortunaなどにはそれぞれ「君主政体」「政体」「運命」といった訳語が充てられており、多くの場合その翻訳は、専門的に見て必ずしも適切だとは思われない。全般的に、誤訳とまでは言えないにせよ、読者がその日本語を正しく「再翻訳」しなければ、誤解を与えてしまう点が多すぎる。しかも、採用されている日本語が一律で機械的であり、それぞれの文脈を踏まえた翻訳とは言いがたい。訳者自身の内容理解が伴っているのだろうかと疑わざるをえない。「厳しい原典批評」を経ているという売り込みだが、かりにそうであるとしても、そもそも版の相違は、文意を読み解く上で、さほど重要な程度ではない。たんなる個人的感想のような不要な注も目立つ。
従来の翻訳のほうがはるかに優れているように思われる。
確かに読みにくい。だが、これで十分ではないか。
(2008-02-24)
言わずと知れた名著だけに、その真髄については、すでに多くのレビューにおいて語られているから、ここでは内容についての批評はしない。評価の分かれている日本語訳についてコメントしておきたい。
確かに、少なからぬ人が指摘するように、この訳文は読みにくい。表現に独特のクセがあるのと、口語的とはいいがたい熟語(「簒奪者」など)が使われている点が、こうした印象を持たせているのだろう。文庫という、幅広い読者を想定した本であることを考えると、もっと訳語をわかりやすくしてほしいところではある。
だが、マキャベリズムの真髄を知るには、今の訳でも十分である。含蓄の深いマキャベリの言説にひそむ思想を、たった一度の読書で了解しようというのは無謀であり、それ故に『君主論』は何度も読み返されるべきものだからである。読みにくくとも、その真髄は余すところなく、本文に現れていると私には感じられる。だから、この文庫版を否定する必要は全くない。また、従来の邦訳の多くがリージオ版(またはその系譜の版)を底本としているのに対し、岩波文庫版はそれらとは根本的に系譜の異なるカゼッラ版を底本としていることを思えば、他の翻訳と単純に並べて語るのは酷である(訳の異同があってしかるべきであるから)。
なお、私は、マッツォーニ=カゼッラ版に依拠している英訳版"The Prince"(trs.G.Bull,Penguin Classic 2003)も読んだが、英訳と日本語訳で大きな異同は見あたらなかった。誤訳があるという指摘もあるが、全く異なる時期に訳している日英の訳者が同じような誤訳をするというのは考えにくいし、本文におかしな意味の文章があるとも感じられない。この文庫版でも、邦訳としては十分合格点を与えられると思う。
必要なスキルと風格
(2008-02-14)
教会と豪族・貴族との均衡と、市民にとる態度。
第三者に与える噂を教えてくれる。
君主論、昔の日本人(切腹や武士道・国盗り)とは違い、
今の日本、には合う。市場主義に当てはめてみると、いろいろ面白い
あと、イタリアの地図は前に出してほしいよ。
全ては愛すべきイタリアのために。
(2007-11-25)
この本では政体の指導者がおのれの支配領域を守るため何をするべきかが、
平易に、かつ歴史上の人物の実例に即して書かれている。
表題は「君主論」だが、君主のみならず、
君主を含めた特定の支配領域をもつ政体の指導者のあるべき姿が説かれている。
しかしながら、あくまでも「君主は自前の軍隊を持つべきである」とか「君主は群雄が相争うなかで中立を示すべきではない」とかいう「何をすべきか」という段階に終始していて、
「君主としてあるべき振る舞いであるそれらのことを実現するためにはどうすればよいのか」というところまでは踏み込んでいない。
この本は、フィレンツェの実権を握り、教皇レオ十世を輩出したメディーチ家の長、ロレンツォ・デ・メディーチに捧げられた。
この本の目玉は、マキアヴェッリ自身のイタリアへの愛である。
この本は26章に分かれているが、25章までが君主のあり方の記述なのに対し、最後の26章では、
政治的に分裂しているせいで外国勢力に蹂躙されていた当時のイタリアへの嘆きと、
メーディチ家に対する、イタリアを分裂から救って欲しいという切なる思いが描かれている。
文体も他の章とは少々異なる。
マキアヴェッリにとっての「強くて狡猾な君主」は、愛国の手段に他ならなかったのである。
決して彼は権謀術数を目的としていたのではない。目的はあくまで愛国であった。
星5つでも全然足りない!!
(2007-01-24)
メディチ家が席巻していた当時のイタリア半島と、それを取り巻く欧州情勢を考慮しても、現代の日本に参考となる部分は大変多い。『国家と政治』『国家と民衆』の関係性を説いた本書は、言わずもがな、世界の名著である。
何かに迷ったとき、会社という馬鹿デカイ組織と己との関係性を考えたとき、部下を正しいと信じている方向に導くとき、そして、最後に刀を抜かなければいけないときに、私が必ず熟読する本である。
アレクサンダー大王が率いたマケドニア王国や古代ローマ帝国、ハンニバルに導かれたカルタゴに共通する強大で強力な帝国にすべき戦略は、現代にでも十分に通用するし、参考になる。
『天国への道を知るもっとも手っ取り早い方法は、地獄への道を知ることである』という言葉に、全てが集約されている。
全世界の勤め人必読の書である。




