Alfred a Knopf
グループ:Book
ランキング:128
価格:¥ 2,253
発売日:2008-04
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カスタマーレビュー ![]()
母の死と父の再婚をめぐる変奏!
(2008-08-16)
『停電の夜に』は案外面白く、読み終わってからも小説の場面を時々思い出すことがあった。それでどうも新刊が出ているようなので取り寄せて読んでみた。・・・ジュンパ・ラヒリの小説を、皆が好きだと思う。彼女の小説を悪くいう人にはお目にかからないだろう。しかし、今度この『馴じめない土地』(2008年4月刊)を読んでこの見方が変わった。成熟というか社会観が広がったというか、読む人によって好みが分かれると思う。
『馴じめない土地』は、八編の短編から成り立っているが、そのうち四編が“ニューヨーカー誌”に発表された。他の四編が書き下ろしのようだ。・・・アメリカにおけるインド人社会のすさまじい上昇志向のなかでアルコール中毒となりドロップアウトしていく「弟」についての物語も印象深かったし、父親の再婚相手の連れ子との葛藤を描いた短編も夢中で読んだ。しかし、僕にとって一番味わい深いのは何と言っても冒頭の“馴じめない土地”だ。特に、今は引退生活を送っている父親が、憑かれたように園芸店から花やいろいろなものを買い込み庭を充実させていくエピソードは奇妙な面白みがあり、その父親が植物に水をやる音を聞き、その音にある種の寂寞を感じるところが何とも素晴らしい(故郷喪失と父親の老いを連想させる)。この父親は、今は旅行を趣味とし余生を楽しんでいるのだが(アンネ・フランクの隠れ家の前で記念写真をとったりする)、どうも自分には隠して恋人がいるようで、母親の死が生々しい娘にとっては心に複雑な影を落としていく。
今回僕はクノップ社版の本を買った。ハードカバーで二千数百円。こんな美しく中身のある本が二千数百円で買えるなんて何と言う僥倖だろう。裏表紙のJLの顔写真を見れるだけでも価値がある。JLを好きな人は、いますぐこの本を買うべきだと思う。




